バスケ日本代表とパリ五輪での経験をジェイコブス晶が語る 同世代の仲間たちへの思い (2ページ目)
【同世代、若い世代への思い】
1月11日にはU19代表でチームメートだったロロ・ルドルフ(右)と対戦。交友を深めた photo by Miyaji Yoko
──今日はU19日本代表でチームメイトだったロロ・ルドルフ選手(カリフォルニア州立大フラトン校)との対戦でしたが、どうでしたか?
「めちゃくちゃ、楽しかった(笑)。試合中にも話せたし」
──試合中に話した?
「試合中、めちゃくちゃ話しました(笑)。フリースローで並んでるときはずっと話していましたし、あと何回か一瞬だけマッチアップしてるときにも話しました。挨拶と、あとは『もうフリースローを外すなよ』みたいな感じの、トラッシュトークというか遊びみたいな感じです。ロロも活躍できたと思うし、日本を代表して同じチームでやっていた選手が、同じ試合で活躍しているのがすごく楽しかったです」
──今、NCAAにも日本人の選手が多くいますよね。そういう選手たちのプレーはチェックしていますか?
「みんな、チェックしています。僕も見るのが好きだし、そういう日本のバスケのレベルが上がってるっていうのが見られることは、うれしいです。みんなの活躍を願っているので」
──ハワイ大のチームメイトの伊久江ロイ英輝選手(大学に入る前、6月に右膝の前十字靭帯を断裂し、今季はレッドシャツ=練習生/スラムダンク奨学金・第16回奨学生)は今どんな感じですか?
「どんどんよくなっています。少し走ったり、最近もダンクとかしています。(復帰するまで)まだあと3、4カ月ぐらいあるらしいんですけど、しっかりリハビリやって、すごくいい感じです」
──最近は日本人選手もNCAA、Bリーグなどいろいろな選択肢を選ぶ選手たちがいますが、ジェイコブス選手はBリーグもNCAAも経験しています。そういった選択を前にした選手からアドバイスを求められたら、どんな話をしますか?
「難しい質問ですね。人によって海外に行くほうがいいのか、Bリーグに行くほうがいいのか、みんな違うんで、アドバイスというよりも、自分がやりたいことをやるほうがいいっていう感じでしょうか。(どちらを選んでも)答えに間違いはないと思うんで。
そういうオプションがあることがすごくいいと思うし、そういうのもバスケのレベルを高くするのにすごくいいと思います。なので、アドバイスというより、本当に自分のやりたいこと、自分の勘とかでやっていくほうがいいと思いますね」
──BリーグもNCAAも、どちらもいいことはあると思うんですけれど、Bリーグでやってよかったなと思うことと、今NCAAでやっていてよかったなと思うこととはそれぞれ何ですか?
「僕がビーコル(横浜ビー・コルセアーズ)に入ったのは17歳の時で、(それまで)そんなに高いレベルのバスケをやっていなかったところにいきなりプロのなかに入った感じでした。それだけ高いレベルのバスケの経験は初めてだったですし、やっぱり日本の高校とBリーグはすごく差があるし、大学とBリーグも結構差があると思います。
その意味では、これがプロのバスケ、大人のバスケっていうのがわかった。大学(NCAA)のほうはいろいろシステムも違うし、すごく勉強できる。大学のほうが教わることは多いのかな。Bリーグ、プロは見ていて勉強できるのが、(他のレベルとは)一番大きな違いかな。たぶん(笑)」
●Profile
ジェイコブス晶(じぇいこぶす・あきら)/2004年4月13日生まれ、神奈川県横須賀市出身。生後間もなく渡米。その後アメリカで過ごしバスケットボールに打ち込み始めるが、新型コロナウイルスの感染拡大で高校などの施設が使用できなくなったことを受けて、2020年末に日本へ。横浜ビー・コルセアーズのアンダーカテゴリーに加入すると2021年9月にはトップチームの特別指定選手として契約を果たした。2022-23シーズンにはオーストラリアのNBAグローバルアカデミーに所属し、2023年にNCAAのハワイ大に入学。その一方で、日本代表メンバー候補にも選出され、パリ五輪にはチーム最年少の20歳3カ月でメンバー入りを果たし、3試合でプレーした。
著者プロフィール
宮地陽子 (みやじ・ようこ)
スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。
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