パリオリンピック男子バスケ フランスの専門誌編集長がホーバスジャパンを総括「戦う術をもっと学んでいく必要がある」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【八村塁の能力を活かしきれなかった理由】

── 日本の中心である八村塁(SF/ロサンゼルス・レイカーズ)や渡邊雄太(SF/千葉ジェッツ)、河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)らのプレーについて、どう見ましたか?

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

『BASKET』編集長ヤン・キャスビル氏 photo by Kaz Nagatsuka『BASKET』編集長ヤン・キャスビル氏 photo by Kaz Nagatsukaこの記事に関連する写真を見る「八村塁はとてもいい選手です。ただ、ヤニス・アデトクンボ(PF/ミルウォーキー・バックス/ギリシャ代表)もそうですが、八村のようなフィジカルで強い肉体を持った選手は、FIBAの試合よりもNBAのほうがより効果的なプレーができる。FIBAの試合はコートが狭く、より組織的なゲームでディフェンスも集団で行なわれるからです。バスケットに近づくためには、ボールをより長く保持しなければなりません。

 それに対して、日本のスタイルはボールを動かすことなので、誰かが5秒もボールを持ち続けることは効果的ではない。もちろん、大きな体でバスケットに向かってドライブできる八村は、パワー不足のチームにとって重要な選手なので、相手にとって脅威でした。

 渡邊雄太も非常にいい選手です。彼のシュート力は、相手のディフェンスを広げられるものでした。彼はドライブもでき、最初の1歩目からスピードに乗れます。ただ、私としては彼にシューターだけでなく、より頻繁にペイントをアタックするスラッシャーにもなってほしい。

 そして、河村です。はっきり言って今回、彼は私の大好きな選手のリストに新たに加わりました。正直に言うと、彼のことはオリンピックまでほとんど知りませんでした。ヨーロッパにいると、アメリカやヨーロッパでプレーしている日本人のことはわかるのですが、日本国内の選手たちを知る機会はありません。

 3年前の東京オリンピックで、我々は町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)という選手を発見しました。町田は信じられないほどのポイントガードでしたよね。そして今年のリールでは、河村がそんな存在でした」

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