パリオリンピック男子バスケ フランスの専門誌編集長がホーバスジャパンを総括「戦う術をもっと学んでいく必要がある」 (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【日本は世界を驚かすことができたのか?】

── 84-80で日本が4点リードで迎えた第4クオーター残り10秒、河村選手が相手の3ポイントシュートを防ごうとしたプレーがファウルと見なされてフランスに追かれたシーンについて、キャスビルさんの意見を聞かせてもらえますか?

「マシュー・ストラゼル(PG/ASモナコ)の4点プレーについてですね。私としては、ファウルはあったと思います。ですが、明確なものでもなかったので、もし笛が吹かれなかったとしても驚きはしなかったでしょう」

── 日本はオリンピックで強豪を倒して「ショック・ザ・ワールド(世界を驚かせる)」と意気込んでいました。3連敗したとはいえ、フランスには肉薄しました。日本は世界を驚かせることができたと思いますか?

「オリンピック開幕前、ホーバスHCがそのキャッチフレーズを使っていたのを覚えています。残念ながら、彼らがそのミッションを成し遂げたとは言いがたいと思います。フランス戦の直後、ホーバスHCは取材対応で『Almost(あと少しだった)』と言っていました。それがすべてではないでしょうか。あとちょっとで、成功が待っていた。

 もちろん、フランス戦ではワンポゼッションで勝利というところまで近づいたので、アリーナにいた人たちやテレビで見ている人たちを驚かせることはできたと思います。そうした人たちは、この試合を記憶するでしょう。

 ただし、スポーツは結果です。時が経てば、それはより顕著となります。今から数年経って、人によってはボックススコアを見て『日本はすごい試合をしたのか』と思うかもしれません。しかし日本が勝っていたら、その衝撃は比べものにならなかったでしょう。

 ですから、日本は世界を驚かせるための道を通っていたと思いますが、それを完遂することができたとは言えません。試合があることすら意識していなかった人たちも驚かせるためには、強豪相手に勝利をあげることが必須だと思います」

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