篠山竜青×香西宏昭の同級生バスケ対談 日本代表は「ホーバス体制でこれから日本人のよさ、武器を見つけていく段階」 (3ページ目)

  • チームリアル●構成・文
  • 細野晋司●撮影

【バスケW杯と『リアル』再開】

――FIBAバスケットボールワールドカップ2023が8月25日に沖縄などで開幕します。

篠山 いよいよですね、楽しみです。ドイツ、フィンランド、オーストラリア......開催国ながら厳しい予選グループに入ったと思います。宏昭はドイツリーグに行っていたけど、ドイツ代表は観たことある?

香西 代表の試合は見たことないかな。ドイツは何といってもサッカーが一番だけど、バスケも人気が高くてドイツリーグの試合はテレビで中継されてる。僕がランディルというチームにいた時、地元のアリーナで観戦したよ。そうだ、ユタ・ジャズの名選手だったジョン・ストックトンの息子さんがいたよ。

篠山 そうなんだよ、デイビッド・ストックトンはドイツリーグにも行っていたんだよね。

香西 NBAに行く選手も増えているから、ドイツのレベルは相当、高いと思う。それにしても、相手は全員身体がデカそう。

篠山 そうだよね。そのなかでもオーストラリアは、うまくハマれば優勝も狙える力があると思う。

香西 車いすだとオーストラリアは、プレーがラフ。トラッシュトーキングも......(苦笑)。

篠山 そういう余裕がなくなるところまで追いつめて欲しいね。

――21年ぶりに自力で本大会出場をつかんだ前回の2019年大会は、篠山選手がキャプテンを務められました。

篠山 親善試合はありましたけど、ガチの世界との真剣勝負は、ほとんどみんな初めての経験でした。ファンの方の期待もプレッシャーも大きくて、いつもどおりのことをやるのが難しかった。5戦全敗の結果以上に、悔しさが残っています。

香西 練習してきたことを普段どおりやるのは本当に難しい、それは痛いほどわかる。東京オリンピックのあと、トム・ホーバスHC体制になって、バスケが変わったよね。

篠山 目指しているのはゴールデンステート・ウォリアーズなんだろうね。NBAを席巻したスモールボールは、身体の小さい選手たちの勝ち方においてひとつの正解なんだと思う。ホーバスHCは女子日本代表でメダルを獲ってそれを証明した。やっていることは絶対に間違っていないし、日本人のスタイルにも合う。それを実戦で迷いなく出しきれるかどうかがポイントになると思う。

香西 僕たちもリオパラのあとにガラッとバスケを変えたんだけど、最初は迷ったし、自信もなかった。戦術を理解できないまま、とりあえず切り替えを速くしよう、一生懸命に走ろうってところから始まった。うまくいかないことを見つけて、変えて、精度を高めて......その積み重ねであのスタイルが出来上がっていったんだよ。

篠山 なるほどね。やっぱり車いすバスケにも、戦術のトレンドみたいなのはあるんだ?

香西 あるね。最近はオールコートで走るチームが増えてきた。ビッグマンまで走るようになったら、やっぱり強くなるんだよね。日本がトランジションバスケで結果を出したことで、それが世界にバレちゃった(笑)。去年「ALL BASKETBALL ACTION 2022 in 仙台」のイベントに参加して、ホーバスHCの代表を観たんだよ。僕はあんまり健常バスケの戦略戦術をわかっているわけじゃないんだけど、コートを広く使うバスケをしようとしていることはわかった。あのバスケをチームとして確立できたら、楽しいだろうなって思ったよ。

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