渡邊雄太が「最悪な試合。日本代表として恥」と怒りを露にした大敗から4年...代表引退を賭けてW杯に挑む (6ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【W杯開幕まで3週間をきった】

 もっとも強化試合は、あくまで調整のためのものだ。2019年のワールドカップ前にはドイツ、2021年の東京オリンピック前にはフランスと、強豪との強化試合に勝利した。しかし、本番では2大会とも全敗を喫している。そうした経験もあり、世界が狡猾にピークを大会本番に合わせてくることを、渡邊も日本代表チームも肌で知っているはずだ。

 それに、大会前に大きなケガをしては元も子もない。前回のワールドカップでは富樫が指を骨折して欠場。渡邊も足首の捻挫で一時状態が懸念される経験をしている。

 渡邊は東京オリンピック前、複数の強化試合に出場し、本大会でも全試合に出場したものの、それが影響してかその後のNBAのシーズンで故障してしまった。代表引退の覚悟を持って戦うだけにワールドカップにはあらん限りの力で臨むことに変わりはないだろうが、これまで培ってきた経験も生かしながら万全の状態で同大会に入ることに注力する。

「歳も取ってきて、昔ほどリカバリーも早くなくなっています。そういう意味でも無理をする必要はまったくない。そこはしっかり頭を使いながらやらなきゃなっていう感じですね」

 ワールドカップ開幕まで残り3週間を切った。代表のユニフォームを脱ぐこともいとわないほどの強い思いで、渡邊がコートでどのようなパフォーマンスを発揮しながら"アカツキジャパン"を牽引するか注目だ。

プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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