渡邊雄太が「最悪な試合。日本代表として恥」と怒りを露にした大敗から4年...代表引退を賭けてW杯に挑む (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【河村勇輝と渡邊雄太の共通点】

「僕は16歳の時に初めて日本代表の候補に入れてもらい、ジョーンズカップという台湾で行なわれた大会で日本代表としてデビューしました。自分は今年29歳になる年で、12〜13年ほど日の丸を背負ってプレーさせてもらっています。だけど日の丸を背負っている以上、(代表の活動に対して)軽いことはできないなっていうのはあります」

 先述のクリニックで、渡邊はこう話した。冒頭の「代表引退の覚悟」の言葉は、これに続いて出てきたものだ。

 この発言は、ほかの代表メンバーにも刺激を与えた。それは、ホーバスHC体制になって初めて代表に招集された若手や経験の浅い選手たちにとっては、とりわけそうだったようだ。

 須田侑太郎(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)は31歳と渡邉よりも年上ながら、2021年11月に初めて日本代表に招集された、いわば"遅咲き"の選手だ。須田は「代表にくる選手は強い思いと責任感を抱いているはず」としながら、渡邊のように「ユニフォームを脱ぐ覚悟」と口に出し、退路を断って戦いに臨む選手はいなかったと、彼に対して尊敬の念を込めた。

「やっぱりそれくらいの心意気でワールドカップに臨むのは、みんな同じでなければいけない。ただ、そういう発言をする選手はなかなかいませんでした。それに対してみんな感じる部分はあると思いますし、感じないといけない、体現しないといけないと思います」

 雨後の筍の如き急成長を見せる、日本で今ナンバー1の若手である河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)は22歳。オリンピックなど世界大会で日の丸を背負いたいという思いから、昨年は完全なプロ転向を果たすために東海大学を中退するという思い切った決断を下した。

 どれだけ活躍して賞を受賞しようとも、慢心することなく常に向上心を示す河村の言動を見ていると、同じように自分を律して努力を続けることでNBA入りを果たした渡邊とは、意識の高さという点で共通するところが感じられる。

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