井上雄彦×渡邊雄太スペシャル対談03「日本のバスケで体格の小さいほうが大きいほうを倒す。多くの日本人の共感を呼ぶ気がする」 (2ページ目)

  • 伊藤 亮●取材・文 text by Ito Ryo
  • 細野晋司●撮影 photo by Hosono Shinji

渡邊 僕もBリーグの試合、千葉(ジェッツ)の試合に見に行きましたが、とんでもなく盛り上がっていました。選手のレベルもすごく上がっていると思います。

井上 あとは、バスケットボールそのもので考えた時に、渡邊雄太選手、八村塁選手など、トップオブトップだけが突出しても、日本バスケ界全体が大きく広がるかといったら疑問で。それだけだと、単にこのふたりが「特別な人たちだった」で終わってしまう可能性もある。

 でも、Bリーグも含めてトップの人たちが、日本バスケの裾野部分に夢を見せてくれている。そのことで気運が高まって、より適切に、より正しい努力をしようという環境が整えば、裾野は広がる。裾野が広がれば、それが積み上がっていくことで頂上も高くなる。と同時に、トップに上り詰める日本人選手の数も増えていく......。

 そういう意味では、トップと裾野の両方がうまく連動して動いているのが今の日本バスケ界かと。

渡邊 Bリーグは今、毎シーズンごとに成長していっているリーグだと思います。実際、外国の選手たちも「日本のBリーグでプレーしたい」と考える選手が増えてきていると感じています。それだけリーグの魅力も確立できています。

井上 30年前には30年前の努力も、もちろんあったと思います。当時からの継続があった先に今があることもたしかで。そして今、日本バスケ界はいい形で歯車が噛み合っている感じがある。

渡邊 特に日本は国際大会がすごく盛り上がるといいますか、ファンの人が一体となっていく。それこそサッカーのワールドカップもそうでしたし、野球のWBCもそうで。そして今回はバスケットのワールドカップがあるということで。

 日本でスポーツが盛り上がるかどうかは、国際大会で勝つかどうかが一番重要だと思っています。サッカーや野球が日本でこれだけ人気なのは、これまで国際大会で結果を残してきているからで。そういう意味では今回、日本は開催国のひとつでもありますし、大きなチャンスです。それこそ開催国だった日本が活躍した前回のラグビーワールドカップもそうでしたから。

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