レブロンとジョーダン、「史上最高のNBAプレーヤー」議論は増加。最多得点記録トップ10の顔ぶれに見る「キング」の偉大さ (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【ジョーダンと同じ土俵に】

 通算アシスト数で歴代トップ10に入っている選手の中で、得点ランキングの10位以内にも入っている選手はレブロン以外に存在しない。そこに、おそらく"NBA史上最高のオールラウンダー"であろうレブロンの特異性と偉大さが見えてくる。ゲームメイカーとして超一流の選手が、スコアラーとしても数字上でナンバーワンになったからこそ、今回の記録達成には特別な価値が生まれるのだ。

 新たな勲章を手にしたレブロンの歴史的な評価は、あらためて取り沙汰されることになるだろう。これまでは、6度の優勝、10度の得点王といったとてつもない実績を残したジョーダンが"史上最高のNBAプレーヤー"と目されてきた。しかし、これほど長く"NBAの王様"として君臨し、NBA史上で唯一、3つのチームを優勝に導いたレブロンも、すでに同じ土俵に上がっていることはオールドファンも否定できないだろう。

 新陳代謝が激しい現代の米スポーツ界において、8年連続を含む通算10度のファイナル進出というレブロンの実績は驚異だ。オールNBAチーム選出、オールスター出場回数、プレーオフの通算得点記録などではジョーダンを上回っているため、レギュラーシーズンの通算得点でも歴代トップに立ったことの意味は大きい。

 プレースタイルが違う両雄を真っ向から比較するのは難しいが、この2人がNBA史上で最高級の選手であることは間違いなく、今回の記録達成をきっかけに優劣を分析する議論は増えるはずだ。

 いまだに、最高の舞台であるファイナルで6シリーズ全勝という勝負強さを見せたジョーダンを上位とする意見は多い。ただ、38歳のレブロンが今後もさまざまな個人記録を塗り替え、さらに優勝回数を増やすようなことがあれば、意見を変える人も増えてくるかもしれない。

「NBA歴代最多得点記録保持者になり、スポーツの世界で最も神聖な記録のひとつを更新したレブロンを祝福します。これまで残してきた実績は、20年にわたって優秀な選手であり続けたことを指し示している。驚異的なのは、レブロンがまだエリートレベルでプレーしていて、彼の歴史がまだ書き換えられていることです」

 今回の記録達成後、NBAのコミッショナーであるアダム・シルバー氏が発信したそんな声明は、現在のレブロンの立ち位置を物語っている。

 ひとつの節目を迎えても、NBA の歴史との戦いは終わらない。かつてレブロン自身が「ゴースト」と呼んだ生きる伝説、ジョーダンとの戦いも続いていく。そのバトルの優劣を判断することは難しいが、レブロンと同世代に生きる私たちが、伝説的なキャリアを目撃していることだけは間違いない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る