スラムダンク奨学生が『SLAM DUNK』を大いに語る。「プレーは流川楓、キャラクターは桜木花道が好き」 (5ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文・撮影 text & photo by Miyaji Yoko

 そういう意味でも、花道とマッチしている。完全に同じではないですけど。努力して、そのチームを引っ張っていけるような選手になる。今もまた、壁に当たってるんで。でも、この環境には慣れっこだから、ここからいつもどおり努力してやっていきます」

── 桜木花道になった気分で。

「はい。フンフンフンフン、フンフンフンフンってハンドリングして(笑)。また頑張ろうかなって思っています。でも、こういう環境のほうが自分、好きなんですよね。テングにならないっていうか。

 入ってすぐ『うまい』となると『俺が一番だぜ』みたいになって、何でもしていい感覚になるじゃないですか。そういう選手って嫌いなんですよ。常にstay humble(謙虚に)。ちゃんと地に足をつけていく環境が自分は好きなんです。

 僕はけっこう"浮かれ者"なので、余裕があるとすぐウワーって浮かれちゃうから、こういう環境に自分を置くのがすごく大事だと常日頃から思っています。チームを引っ張っていくような選手になったとしても課題はいっぱいあるので、それをしっかり頭に置いて。『これはできているけど、これはできてないじゃん』っていうのを、自分のなかの鏡とにらめっこしていくように意識しています」

── いつも高いレベルを目指していくと、そういうふうになりますよね。それを繰り返すからこそ、成長できる面もあるでしょうし。

「間違いないです。やっぱり、最初からうまい人って(バスケが)つまらなくなっちゃって、結局続かない。こういう環境があるからこそ、『バスケが楽しい』っていうのをすごく感じられる。だから、常に自分をこういう環境に置くようにしています」


【profile】
須藤タイレル拓(すどう・たいれる・たく)
2001年4月6日生まれ。神奈川県横浜市出身。アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれ、小学6年生の時に横浜ビー・コルセアーズのユースチームに参加してバスケにのめり込む。横浜清風高2年の時にスラムダンク奨学金に応募して合格。2020年8月から渡米先のセントトーマスモアスクールでプレーし、そこでの活躍が評価されて2022年4月にNCAAノーザンイリノイ大への進学が決まった。アメリカでの登録名は「タク・ヤングブラッド」。ポジション=シューティグガード、スモールフォワード。身長188cm、体重84kg。

【著者プロフィール】宮地陽子(みやじ・ようこ)
スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売予定の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。

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