女子バスケ・渡嘉敷来夢が悔しかった「五輪絶望」の記事。今の原動力は「銀メダリストに負けたくない」 (3ページ目)
渡嘉敷来夢が目指すパリ五輪への道
プレーオフに向けて調子を整えている ©︎W LEAGUE――昨年12月の皇后杯で優勝し、完全復帰をアピールできたのでは?
「皇后杯の優勝は自信になりました。そこは絶対に獲りたかった。絶対に欲しいタイトルでした。自分が1年前にケガをした大会だったし、そこで優勝できなかったら『渡嘉敷がいないほうがよかった』と言われるのが嫌だったので、皇后杯を獲れたのは本当にうれしかったです」
――今シーズンは代表活動やコロナの影響で隔離期間が多々ある中で試合をしています。万全のコンディションを作るのは難しいでしょうか?
「隔離のあと、試合に向けて一気にコンディションを上げないといけないのが難しいところです。ただ、自分はそこで無理をしないと決めています。隔離明けだと体が思うように動かなくてケガにつながることもあるので、試合や練習で危ないなと思ったときは身を引きますね。もちろん、全力でプレーしているのですが、年を重ねたり、ケガをしたことで、自分の体の声を聞くようになりました。プレーオフまでにはもう一段階コンディションを上げていきたいです」
――4月から始まるプレーオフに向けての意気込みを聞かせてください。
「勝つためには自分が得点を取ることが大事。そこは体を張ってやります。その上で、若い子たちがノビノビとプレーできるように、状況を見極めてゲームメイクをしていきたいです。課題はディフェンスと、相手に先行されて乗せないこと。今シーズンのウチは踏ん張る力が足りないので、そこは崩れないで我慢することが重要です」
――Wリーグの王座奪回を目指すとともに、今の渡嘉敷来夢はどこに向かって走っているのでしょうか。
「パリオリンピックに向けて、もっと中も外もできる選手になることを目指しています。自分にヘルプが寄っていなかったらペイントエリアで得点を取るし、自分より大きな選手がついていたら、外に出てシュートもドライブもしたい。そういう選手になるために、毎日練習をしています」
――パリに向けて、自分を突き動かす最大のモチベーションになっているものは?
「やっぱり、東京オリンピックの銀メダルの存在ですね。銀メダルを獲った選手には絶対に負けたくないです。自分が現状に満足していないのは、メダルを持っていないから。国内では銀メダルメンバーを倒したいし、パリでは自分もメダルを獲りたい。それに、応援してくださる方たちに少しでも『渡嘉敷はすごくなった』『渡嘉敷がいると違う』というところを見せたいと思ってプレーしています。もっと成長したいですから」
3月5日の試合にて、相棒の岡本彩也花が膝を負傷するアクシデントに見舞われた。1年前の自分と同じ状況に胸を痛めながらも、エースは決意する。
「自分はどんなときもコートに立って、どんなことがあってもチームを前に向かせて、勝利に導かなきゃいけない」
Wリーグ優勝を目指し、そしてその先へと続く未来に向けて走り続ける覚悟だ。
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