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言葉の魔術師ホーバスHCはアメとムチの使い分けが絶妙。活躍した選手に「褒めないよ」と言ったワケ (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Nikkan sports/AFLO

日本バスケの文化を変えたい

 彼の言葉から「耳を離せない」というのは、選手に対してだけのものではなく、記者たちに対応する時も同様だ。

 英語で話す際はそれがとりわけ顕著で、ひとつの質問に対してできるだけ詳細を語り、しかも比喩表現が豊かなので、メディアも彼の言葉を紙面等で使いやすい。あくまでひとつの例だが、英語で「山あり谷あり」を表現する時に、多くの人が「ups and downs」を使うところを、ホーバス氏の場合は「hills and valleys」と少し詩的なフレーズを使ったりする。

 しかしながら「言葉の魔術師」という形容も、チームを勝たせられなければ説得力を持たない。女子代表ではメダル獲得という快挙を成し遂げたホーバスHCも、男子代表ではここまでのところ苦戦が続く。Bリーグのシーズンが現在進行中で、選手を十全に招集できていないといった状況があるからだ。

 次のワールドカップ予選Window3は、シーズン終了後の6月末からとなる。その時には状況も好転している可能性があり、本領を発揮するのはそこからとなるのかもしれない。

 ただし、日本がどれだけ最高の選手たちを集めたとしても、世界の強豪との差がいまだ大きい現実に変わりはない。なにしろ2019年のワールドカップ、そして東京五輪と、日本男子代表は全敗を喫しているのだ。

 ホーバスHCは、目の前の試合に勝つことと同時に「日本のバスケットボールのカルチャーを変えたい」とも言っている。同じミスを繰り返すことには声を荒らげるが、だからといって攻める気持ちを忘れてはいけない、どれだけ負けていてもポジティブなマインドセットでいなければならない----。筆者はそのように捉えている。

 今回のWindow2でA代表として初めてプレーした谷口大智が、ホーバスHCの「言葉」についてこんなことを話していた。直前の合宿で前の日にはできていた練習がうまくいかず、ホーバスHCが声を荒らげた言葉に、身が引き締まったというのだ。

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