【国内バスケ】折茂武彦がBリーグを語る。
「失敗すれば未来はない」 (5ページ目)
折茂は、「本当に知(c)LEVANGA HOKKAIDOらなかったのかどうかは、わからないですけど」と言いながら、こう続ける。
「大勢の報道陣のいる前で、しかもテレビカメラが回るなか、そう言われたんです。『君は日本で一番得点を獲っていて、バスケ界では有名なのかもしれないけど、僕は知らない』と。メディアコントロールの上手な方なので、意図があっての発言だと思っています。ただ間違いなく、それが世間一般から見た僕の認知度であり、関心度だと思います。それが、今の日本バスケット界の現状です」
ただし、真偽はどうであれ川淵の言葉は、バスケをメジャー競技にと願い続ける折茂にとって、何よりの発奮材料のはずだ。
坊主頭にしなければならないルールに抗い、野球をやめてバスケを始めた。複数のオファーから強豪の一員になることよりも、強豪を倒すために当時弱小のトヨタ自動車を選んだ。安定を捨て、まだ海のものとも山のものともつかない、北海道の新設プロチームへの移籍を選んだ。そのキャリアを振り返れば、折茂の競技人生は、そのまま反骨の歴史だ。
折茂武彦、46歳――。いまだ闘い続ける。日本バスケットボール界の至宝でありながら、ノイジー・マイノリティ(声高な少数派)でい続けることが、誰よりも似合っている。
【profile】
折茂武彦(おりも・たけひこ)
1970年5月14日生まれ、埼玉県出身。レバンガ北海道所属。埼玉栄高校から日本大学へと進学し、1993年にトヨタ自動車に入社。2007年、新設されたレラカムイ北海道に移籍するも、運営会社の撤退などにより新チーム「レバンガ北海道」を自ら創設。国内プロ団体球技で異例の「選手兼オーナー」となる。日本代表としては1994年・広島アジア大会や1998年・世界選手権など数々の国際大会を経験し、正確なスリーポイントシュートは現在も国内トップレベル。シューティングガード。190cm・77kg。
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