2015.04.30

【NBA】主役を譲ったベテラン、ポール・ピアースの真骨頂

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 ワシントン・ウィザーズのポール・ピアース(SF)いわく、大事なのは、『それ』を持っているかどうかなのだという――。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

好調ウィザーズを牽引する37歳のポール・ピアース プレーオフ直前のESPNのインタビューで、ファーストラウンドで対戦する可能性があるトロント・ラプターズについて語ったピアースは、今季のレギュラーシーズンで3戦全敗しているにもかかわらず、「あのチームは『それ』を持っているとは思わないから、心配していない」と切り捨てた。

『それ』が何なのか、ピアースは具体的に語ろうとしなかったが、推測するに、大舞台でビッグプレーを決められる能力、プレッシャーのかかった状態で恐れることなく最大限に能力を発揮できる勝負強さ、集中力を切らさずに戦い続けることができる精神力……、それらすべて合わせたものを指しているのではないだろうか。

 ピアースの言葉の裏には当然、「自分たちウィザーズは『それ』を持っている」というニュアンスも含まれている。そして、ウィザーズが『それ』を持っているのは、ピアースがいるからに他ならない。

 ウィザーズのプレーオフ1回戦の相手がラプターズに決まると、ラプターズのファンはピアースを大ブーイングで出迎えた。もっとも、ピアース自身はそれすらも計算の上だったのかもしれない。ラプターズファンの集中砲火は大胆発言をしたピアースに集まり、その分、プレーオフの経験が浅い若手選手たちは、上位シードのラプターズ(※)を相手にプレッシャーを感じずに戦うことができたのだ。

※ラプターズ=第4シード、ウィザーズ=第5シード。