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【NBA】主役を譲ったベテラン、ポール・ピアースの真骨頂 (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 ラプターズとの第3戦でも18得点と活躍したピアースは、試合途中でディフェンスをかわして3ポイントシュートを決めた後、「自分がここにいるのは、このためなんだ!」と叫んだ。

 しかし、ピアース自身はそのことをまったく覚えていないという。

「アドレナリンが出まくっていて、試合中に言ったことは正直、何ひとつ覚えていないんだ」とピアースは言った。

「ロードの観客も、ホームでの試合も、プレーオフのすべてが大好きだ。今は、その時々を楽しんでいる」

 プレーオフの一瞬一瞬を楽しみ、特別な思いで戦っているのには、理由がある。それは、引退が近づいていることを感じているからだ。今年ではないかもしれないが、ごく近い将来であることは間違いない。

 ピアースはこう語る。

「最初にプレーオフを戦った時は、純粋に大きな声援の中でプレーできることを楽しみたい、という気持ちだった。今は、あと何回こういう瞬間があるか分からない、トンネルの向こう側の光が見えるから、この瞬間を堪能するようにしている。この後に続く試合が特別なのは、そういう理由なんだ」

 1977年生まれの37歳――。いぶし銀のポール・ピアースのプレーの一瞬一瞬を、私たちも堪能し、目に焼きつけておきたい。

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