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【NBA】主役を譲ったベテラン、ポール・ピアースの真骨頂 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 ピアースは言う。

「自分は負け犬の役割でも、悪者の役割でも、何でも引き受ける。そのことでチームメイトたちが楽にプレーでき、俺らのチームが少しでもメンタル的に優位に立てるのなら、それに越したことはない」

 思ったことをそのまま口にする自信家のピアースは、今回に限らず、その発言が物議を醸すことが多い。その一方で、その自信満々な言葉を裏づけるような活躍をしてきているのも事実だ。キャリアの大半を過ごしたボストン・セルティックスでは2度NBAファイナルまで進み、2008年には優勝してファイナルMVPに選ばれている。

 今季から所属しているウィザーズでピアースは、自分中心のチームでないことを理解し、ジョン・ウォール(PG)やブラッドリー・ビール(SG)ら若手スターのサポート役を進んで受け入れている。時に叱咤激励し、時に手本を見せ、彼らの成長を何よりも喜んでいる。37歳という引退を意識する年齢になり、体力を温存するために出場時間は減り、それに伴ってスタッツも低下。レギュラーシーズンの平均得点はキャリア最低の11.9得点だった。

 ただ、それでも大舞台での強さは健在で、プレーオフ1回戦の初戦では敵地で20得点を挙げる活躍を見せ、チームを勝利に導いている。まさに、プレーオフ前の言葉を裏づけるかのような活躍だった。敵地で2連勝したウィザーズは、ホームでも2連勝を挙げてラプターズをスウィープで撃破。イースタン・カンファレンス準決勝に駒を進めている。

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