【男子バスケ】JBLファイナル・トヨタ竹内公輔「古巣に勝ててよかったです」 (2ページ目)

  • 横谷和明●文 text by Yokoya Kazuaki
  • 加藤よしお●写真 photo by Kato Yoshio

 第1戦は最大19点差をひっくり返されてまさかの逆転負け。アイシンの経験の前に、若手選手の多いトヨタは敗れ去った。だが、チームの立ち直りも早かった。2戦目以降はトヨタの最大の武器である激しいディフェンスが機能し、オフェンスでも日替わりで活躍する選手が現れるなど、連日の接戦を制して3連勝でタイトルを獲得。竹内も第2戦は「自分の仕事」というオフェンスリバウンドを両チーム最多の5本獲り、第3戦はチーム最多の13点を記録するなど勝利に貢献した。

 アイシンの鈴木貴美一HCは、「我々は良いときと悪いときの波があるけど、トヨタは40分間通してずっと落ちないで戦ってくる。正直ものすごく強さを感じた」と脱帽し、ベックHCも「我々のチームはグッドからグレートになった」と教え子たちに最大級の褒め言葉を与えた。

「僕らのチームは練習量がものすごい。コーチが『ここまで』というまで、誰も気を抜かずに100%の力でやるんです。ベテランの(高橋)マイケルや(渡邊)拓馬さんが練習を引っ張ってくれるので、僕らも一生懸命できる。23歳の若手から37歳のベテランまで、本当に家族みたいなチームですし、結束力の強さが優勝につながったと思います。それにやっぱり相手が古巣ですから、勝てて良かったですね」

 チームの強さの秘訣をそう語る竹内だが、自身のプレイに話が及ぶと一転して「ファイナルでも自分らしさを発揮できなかった」と悔しさを見せた。

「自分のプレイには納得していませんし、今回はチームメイトに優勝させてもらったと思っています。こういうスタイルの中でもMVPを獲得したフィリップ(リッチー)のような活躍ができないといけない。もうチームを引っ張らないといけない年齢(27歳)ですから」

 もちろん、収穫もある。

 ディフェンスに対する意識が一段と高まり、チームの勝利のため存在感を発揮できる試合も増えてきた。限られた出場時間で100%のパフォーマンスを出すための試行錯誤も、これから先、新たな挑戦をするうえで財産となるだろう。

「来季について、いろいろ考えていることはあります。まだいつ話せるのか分からないですけど、できれば"上"でやりたいな、と」

JBL入団後、最も困難だったシーズンで「優勝」という最高の結果を手に入れた竹内は、次なる目標を見据える。そのステージは、海外挑戦なのかもしれない。

「無類の負けず嫌い」と自身を称する竹内が今シーズンの経験を糧にどんな進化を見せてくれるのか、来シーズンが今から楽しみである。

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