【男子バスケ】JBLファイナル・トヨタ竹内公輔「古巣に勝ててよかったです」

  • 横谷和明●文 text by Yokoya Kazuaki
  • 加藤よしお●写真 photo by Kato Yoshio

今シーズン、アイシンからトヨタへ移籍し、自身3度目の優勝を飾った今シーズン、アイシンからトヨタへ移籍し、自身3度目の優勝を飾った うれしさの中にも、悔しい気持ちが少し入り混じる優勝だったかもしれない。

 4月18~23日に代々木第2体育館で行なわれたJBLプレイオフ2011-2012では、トヨタ自動車アルバルクがアイシンシーホースを3勝1敗で下し、2006年以来の優勝を飾った。今年アイシンからトヨタに移籍した竹内公輔にとっては、自身通算3度目のJBL優勝。だが、これまでの優勝に比べると少し様相が異なっていた。

 竹内は2007年にアイシンへ入団し、205cmの身長を生かしたリバウンドとブロックショットでチームの2年連続2冠(リーグ王者、オールジャパン優勝)に貢献。アウトサイドシュートの確率も高く、昨シーズンまで4年連続でベスト5に選出され、2008-2009シーズンはシーズン&ファイナルMVP、2009-2010シーズンにも2年連続シーズンMVPに輝くなど、チームの主軸として輝かしい成績を残してきた。

 5年目を迎えた2011-2012シーズン、竹内は「さらなる挑戦をするため」にトヨタに移籍。だが、本人いわく、「想像以上に難しいシーズン」が続いた。

 ドナルド・ベック・ヘッドコーチ(HC)が率いて2年目を迎えるトヨタは、徹底したフルコートでのプレッシャーディフェンスから試合の主導権を握るスタイルである。そのスタイルを40分間貫くためにはかなりの運動量が必要になるが、ベックHCは10人でプレイタムをシェアして、ディフェンスのクオリティを保つ戦術を採ってきた。

 昨年からある程度完成されていたチームだけに、システムを理解し「アジャストするのに時間がかかった」ことに加え、4年間ほぼフル出場し、「37分でスタッツを残すことに慣れた体になってしまっていた」という竹内にとって、1試合20~25分で自分の力を100%発揮することは思いのほか難しかったという。さらに、シーズン中盤にはJBLに入って以来、初めて大怪我を負ってしまう。試合中に相手選手との接触で肺に穴が空き、肺が膨らむまで約1カ月間、プレイすることができなかったのだ。

 それだけに、プレイオフに賭ける意気込みは強かった。しかもファイナルの相手は、昨年まで自分が在籍し、対戦を熱望していたアイシンである。

「アイシンは自分がいなくなって、正直インサイドが強くなったと思う。それだけに勝ちたいですし、プレイオフではインパクトを与えるプレイを示したい」

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