【F1】角田裕毅「エンジニアと何を話せばいいかわからない」 低迷から救ってくれた先輩アルボンの存在 (3ページ目)
【角田が2年目も乗れるために】
── 2022年の契約は9月7日、第14戦イタリアGPの前に発表されています。第10戦イギリスGPでは10位、第11戦ハンガリーGPでは6位入賞を果たし、調子が上向いてきたことに加えて、ホンダとレッドブルが2022年以降もHRC(ホンダ・レーシング)からパワーユニットをサポートする形で続くこともプラスに働いたのでしょうか。
当時、山本さんが「ホンダは撤退するけど、角田のためにきちんとレールを敷いてから辞めていきます」とおっしゃっていたのが記憶に残っています。
「2021年限りでホンダはF1から撤退するものの、2022年もホンダがレッドブルにパワーユニットを使ってもらうことは決まっていましたからね。
最初は本社側でも反対されたし、それも微妙だったんです。だけど、2021年を迎える前に経営会議で『今年チャンピオンを獲って辞めたいから、そのためにも今年は引き継ぎ作業などにリソースを割かれることなく、目の前のレースに集中できるように、来年(2022年)を引き継ぎ期間として、レッドブルに対してミニマムのサポートをする1年をください』と言いました。
そうすれば、2021年の結果がよくなるというだけでなく、そういう背景も含めて角田が2年目も乗れる道筋がつけられるだろう、と考えたからです。
あの時はコロナの影響で、3月の開幕前に日本を出ると、夏休みまで帰ってこない予定だったんです。入国制限と隔離措置があったから、ずっとイギリスに滞在していたんですね。だからその渡欧前に経営会議で提案して、承諾を得ていたんです。
9月に発表されることになった経緯は覚えていないけど、そういう背景もあって、レッドブル側との交渉がスムーズに進んだからだと思います」
(05につづく)
【profile】
山本雅史(やまもと・まさし)
1964年3月15日生まれ、奈良県出身。高校卒業後の1982年、本田技術研究所(Honda R&D)に入社。2016年、マネージメントの手腕を買われてホンダ本社のモータースポーツ部長に就任。2019年にF1担当マネージングディレクターとなり、2020年のアルファタウリ優勝や2021年のレッドブル・ドライバーズタイトル獲得に貢献。2022年1月にホンダを退職し、現在はMASAコンサルティング・コミュニケーションズ代表を務める。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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