【F1】角田裕毅「自信はありますよ」 フェルスタッペンだけが知る「マシンのツボ」を見つけられるか (2ページ目)
【得意のイモラで飛躍のチャンス】
さまざまな点でRB21のことを習熟しなければならないとはいえ、一番の課題はマシンの向きを最も効率的に変える方法だ。
フェルスタッペンは何年もレッドブルで戦ってきて、レッドブルのマシンが持つ速さを引き出す「絶妙なツボ」を知っている。
ブレーキング開始からブレーキを徐々に緩めていき、コーナーに向けてステアリングを切り込んでいくターンインのプロセスのなか、常にマシンの姿勢が変化することでマシンの前後を抜ける気流が変わり、ダウンフォースの量とマシンバランスも変化した「ここぞ」のタイミングで、ステアリングを切る。
それは、リアが流れる瞬間であったり、逆にアンダーステアになってリアの安定感が増す瞬間であったり......。そのコーナーごとに最適なマシンバランスの瞬間を作り出すことで、RB21を最も速く回頭させるのだ。
角田がその能力に乏しいドライバーなのではない。単純にレッドブルのマシンにまだ身体が慣れていないこと、RB21の「ここぞ」というウインドウが狭いこと、さらにはシミュレーターと実走の誤差など、さまざまな要素が重なり合って現状がある。
「レッドブルのマシンは、ターンインしていく時にタイミングを合わせるウインドウがとても狭くて、まだそのウインドウをつかみきれていないんです。正確に『ここだ』というタイミングでターンインできていない。そのせいで、おそらくマックスが実現できているマシンバランスよりも前後がバラバラのバランスになってしまっているんだと思います」
レーシングブルズのマシンでは、そういうマシンの限界値を利用したドライビングを難なくこなしていた。だからこそ、あの速さが発揮できた。
ただ、いずれレッドブルのマシンでもそれができるようになると、角田は考えている。必要なのは、時間と経験、そして比較対象だ。
「だからこそ、今週末はマックスとほぼ同じ状態のマシンで走ってどんな挙動を示すのか、楽しみにしています。今週末は3回のフリー走行を使えるので、マイアミGPとはまた違ったトライができるチャンスもあると思っています」
自分自身が得意とするこのイモラで、夢だったレッドブルレーシングのドライバーとして角田裕毅がどのような成長を見せてくれるのか、楽しみにしたい。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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