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【F1】角田裕毅のレッドブル昇格3戦目は「とっ散らかっていた」 しかし必要のないクラッシュも信頼は失わず

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

F1第5戦サウジアラビアGPレビュー(前編)

 角田裕毅(レッドブル)の第5戦サウジアラビアGP決勝は、スタートからわずか700メートルで終わってしまった。

 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)がアウトから並びかけてきたターン4で接触を避けきれず、両者ともにウォールにヒットしてリタイアを余儀なくされた。

角田裕毅のレッドブル3戦目は一瞬で終わってしまった photo by BOOZY角田裕毅のレッドブル3戦目は一瞬で終わってしまった photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「僕としては完全にマシンをコントロールできた状態でしたし、過剰なスピードをキャリーしてターン4に飛び込んでいったわけでも、コントロールを失っていたわけでもありません。

 でも、あそこはこのサーキットで最もタイトなコーナーで、基本的にサイドバイサイドで入っていけば何が起こるかということは、経験上わかっているはずです。僕も可能なかぎり接触を避けようとしたんですけど、あれだけタイトなコーナーで1周目のグリップが低い状況では、全員がもう少し慎重なドライビングをすべきだったと思います」

 スタート直後の複数のマシンで混雑する状況であり、単純な1対1のバトルではなかったことから、スチュワード(競技会審査委員会)はどちらか一方にのみ事故の責任を問うことはできないと判断し、双方ペナルティなしの裁定を下した。

 しかし角田にとっては、失った50周の決勝レースは帰ってこない。

 レッドブルに昇格して3戦目、トリッキーなマシンRB21を習熟することこそが最優先事項であるはずの角田にとって、これ以上なく手痛かったのはそこだ。

 サウジアラビアGPの角田は、少しとっ散らかっていた。

 金曜FP2では残り9分でクラッシュを喫し、決勝想定のロングランがほとんどできずに終わってしまった。

 それも、トリッキーなマシンに適応できなかったとか、攻めてコントロールを失ったというわけではない。攻めすぎてアウト側に当たることはよくある中低速コーナーで、イン側の壁にヒットしてマシンを壊してしまったのだ。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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