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世界で巻き起こるF1ブーム「あの頃の日本のよう...」ベテランカメラマンたちが熱狂のなかで撮りたいレーサーは? (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【ハミルトン、フェルスタッペン...ふたりの狙う一枚は?】

ーー最近では、ルイ・ヴィトンがF1と10年間のオフィシャル・パートナー契約を締結しましたが、日本でもF1への注目度が高まってほしいと思います。最後にふたりが今シーズン、ぜひ撮影したいシーンを教えてください。

桜井 世界中でハミルトンに注目が集まっているので、やっぱり彼がF1でもっとも伝統と歴史のあるフェラーリで勝つところを撮りたい。もしハミルトンがフェラーリで勝つことができれば、世界的にも大きなニュースになるはず。今、若いF1ファンが増えていると話しましたが、結局、彼らが一番支持しているのはハミルトンだと思います。7度の世界チャンピオンに輝く彼は、ただ速いだけじゃありません。全身にタトゥーを入れ、個性的なファッションでパドックを歩いたり、さらに人種差別の撤廃を訴えたり、タレント性がすごくありますよね。私も古い人間なので「サーキットでチャラチャラした格好をして......」と思うことも正直あります(笑)。でも、そんなハミルトンの姿に世界中の若者が魅了されているのは事実。ハミルトンは現代F1のアイコンです。フェルスタッペンだけでは、世界中でこれほどのF1ブームは起きていなかったと思います。

テストではフェラーリのマシンのドライブに苦しむ場面もあったルイス・ハミルトン 撮影/桜井淳雄テストではフェラーリのマシンのドライブに苦しむ場面もあったルイス・ハミルトン 撮影/桜井淳雄この記事に関連する写真を見る

熱田 たしかにフェルスタッペンはファンサービスをあまりしませんし、レース以外のことにほとんど関心がないように感じます。サーキットでは勝つことだけに集中しています。でも、それがスポーツ選手の本来の姿だし、僕はそこに好感を持っています。ハミルトンと対照的に、フェルスタッペンは毎戦レッドブルのロゴが入ったチーム支給のキャップにポロシャツかブルゾン、ジーンズにバックパックを背負ってサーキットに登場します。そのへんにいる大学生みたいな格好で、全然チャラチャラしていません(笑)。でも、いったんコースに出れば勝利に貪欲で、めちゃくちゃ熱い走りでファンを楽しませてくれます。そこがかっこいいです。

5連覇を目指すマックス・フェルスタッペンは新たなパートナーを迎えてシーズンイン 撮影/熱田護5連覇を目指すマックス・フェルスタッペンは新たなパートナーを迎えてシーズンイン 撮影/熱田護この記事に関連する写真を見る

桜井 フェルスタッペンの実力は別格だと認めますが、幅広い層のファンに支持されているのはやっぱりハミルトンのおかげだと思いますよ。とにかく、彼がフェラーリで活躍すればF1は間違いなく盛り上がるので、表彰台に上がる姿を撮りたい。でも、ハミルトンとコンビを組むシャルル・ルクレールも難しい立場ですよね。ルクレールはフェラーリと2029年までの長期契約を結んでおり、エースドライバーですが、もし移籍してきたばかりのハミルトンが先に優勝してしまったら、面目丸つぶれです。ルクレールにとっても今シーズンは正念場です。あと、ハミルトンに弾かれる形でフェラーリを出され、ウイリアムズに移籍したカルロス・サインツJr.の活躍も見たい。彼だって見返してやるという意地が絶対にあるでしょう。サインツが表彰台に上がって、喜びを爆発させるところも撮りたいですね。

カルロス・サインツJr.はテストで好調な走りを見せており、ダークホースになるかもしれない 撮影/桜井淳雄カルロス・サインツJr.はテストで好調な走りを見せており、ダークホースになるかもしれない 撮影/桜井淳雄この記事に関連する写真を見る

熱田 僕は角田裕毅選手の初表彰台と、フェルスタッペンがマクラーレンやフェラーリをやっつけて勝つところですね。でも気になるのは、今年のレッドブルのマシンの出来です。昨シーズンの中盤戦以降は、フェルスタッペンが頑張ればかろうじて勝利に手が届くだけの競争力がありましたが、今シーズンは天才デザイナーのエイドリアン・ニューウェイが抜けたあとの初めてのマシンになります。せめて表彰台に上がれるくらいの力があれば、フェルスタッペンは勝てるチャンスはあると思いますが、どうなるのか......気になります。

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