検索

【F1】ホンダの2026年型パワーユニット開発は苦しんでいる? ホンダ・レーシング社長に直撃した (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【「challenging」を使うべきだった】

── 現行パワーユニットにおいてホンダが優位性を持っている電動系については?

「いかにコンパクトに軽くするか、そしていかに(使用による)劣化を抑えるか、という課題もあります。バッテリーに関しても現行規定ではライバルに対して優位性を持っていると考えていますが、2026年に向けては精度を高める点も含めて、かなり新しいチャレンジをしながら開発しています」

── 先日、渡辺社長の「2026年に向けた開発に苦しんでいる」という発言が一部メディアで報じられました。

「あれはデイトナ24時間レースの時、10人くらいのアメリカ人記者との囲み取材で、さまざまな話のなかのひとつとしてF1のことを聞かれて話したことなんです。話した真意は、2026年のF1はレギュレーションが完全にガラッと変わるので大きな挑戦だ──ということを伝えたかったんです。

 まず、開発の目標値をどこに設定するのかが非常に難しくて、自分たちは自分たちのロジック(理論)のなかで『ここまで行けば世界一なはず』というラインを引き、そこに向かって必死にやっていくわけですが、ライバルの状況がわからないだけにそのラインが正しいのかどうかもわからない。それが正しかったとしても、そこにたどり着くのは非常にチャレンジングな目標です。

 それを話している時に『struggle』という言葉を1回使っただけなんですけど、それを『苦戦している』と取り上げられてしまった(苦笑)。そんなに簡単なことではないけれど『そこに向けて必死に努力している』ということと、『我々はその目標を達成できると思っている』ということを言いたかったのは、その記者も私の表情を見ていれば真意は伝わっていたはずですけど、『challenging』という言葉を使うべきでしたね(苦笑)」

── 各仕様が細かく規定されてしまっている2026年レギュレーションでは、優位性を生み出すために、これまでとまったく違う発想が必要になるとも聞いています。

「そうですね。モーターひとつ、バッテリーひとつ取ってみてもそうですし、ICEはあれだけ(燃焼系やセンサー、燃料の規定変更で)パワーダウンする要素が増えていくなか、もう一度馬力を上げていかなければならないので、かなり難しいですね。

 それを実現するには相当な発想の転換が必要ですし、『そこに着目するのか』というところにまで目を向けていかなければいけません。さらには、ここまで必要なのか、と思うくらい細部に至るまで積み上げる開発をしている。

 2021年の新骨格で編み出した高速燃焼のように、違う世界にガラッと行くような技術チャレンジが必要です。ホンダも相当なトップエンジニアをF1に投入していますが、それを追求する彼らの発想や努力は本当にすごいなと思います」

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る