角田裕毅が「日本人はモナコに弱い」イメージを覆す ガードレールまでミリ単位のドライビングは「全部感覚」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【雨が降れば角田にとって大躍進のチャンス】

「雨でも(昨年のような)ブレーキの問題がなければ心配はしていませんけど、天候がよいほうがいいですね。そのぶん、走りに集中できますからね。でも、モナコはイレギュラーな天候も多いですし、そういったことにも備えておこうとは思っています」

 ドライのレースなら、タイヤの性能低下が小さくオーバーテイクが極端に難しいモナコは、誰もが1ストップ作戦を採る。つまり、予選がほぼすべてのレースだ。過去にはMGU-K(※)の回生120kW(約160馬力)をすべて失っても後続を抑え込んで優勝できた例もある。

※MGU-K=Motor Generator Unit-Kineticの略。運動エネルギーを回生する装置。

 しかし、雨が降れば話は違ってくる。どのタイミングでインターミディエイトタイヤ(小雨用に特化したタイヤ)を履くか、もしくはドライタイヤに履き替えるか。それが勝負を大きく左右することになる。

 それは、中団グループにとっては大躍進のチャンスでもある。

 今の角田なら、そのチャンスが巡ってくる中団グループのトップにいられる。そして、そこでチャンスを掴むことができ、その掴んだチャンスを最後まで手放すことなく持ち帰ることができる。

 今季開幕からの7戦で見せてきた頼もしい姿が、そう思わせてくれる。

 日本人にとって難攻不落であり続けたモナコを、そろそろ攻略する時が来たようだ。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る