2019.12.27

渋野日向子は「根っからの勝負師」。
村口史子が振り返る「奇跡の瞬間」

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 2019年、女子ゴルフ界最大のニュースと言えば、渋野日向子の全英女子オープン制覇だろう。年の瀬を迎え、あの感動を今一度呼び覚まそうと、今回、彼女の快挙達成を最も近くで見ていた村口史子プロに、歓喜の瞬間をあらためて振り返ってもらった――。

全英女子オープンを制した渋野日向子 2019年8月、AIG全英女子オープンの最終日、最終組、最終18番ホール。入れば優勝、外したらプレーオフという約5mのバーディーパットを、渋野日向子さんは強気でねじ込んで、日本人として樋口久子さん以来、42年ぶりとなる海外メジャー制覇を成し遂げました。

 これまで、全英女子オープンや全米女子オープンなど、海外メジャーのラウンドレポーターを何度も経験させていただきました。そのなかで、日本人選手が勝ちそうな大会もいくつかありましたが、なかなか優勝することはできませんでした。

 私がラウンドレポーターを務めたなかで、最も優勝に近づいたと思うのは、2008年の全英女子オープンでしょうか。3日目を終えて、不動裕理さんが首位に立って最終日を迎えました。1打差の2位には申ジエさん。そのふたりが最終日、最終組で回ったんですが、お互いに優勝を意識し合ってか、ともにパットが決まらず、最終日はスタートホールから非常に空気が重かったことを覚えています。

 そして、最終的には申ジエさんが逆転優勝。その時に海外メジャーを勝つことの難しさを、あらためて痛感させられました。そうやって、日本人選手が悔しい思いをしてきたシーンを何度も見てきたので、渋野さんには申し訳ないのですが、今回も最終日を前にして、少なからず彼女の優勝に半信半疑な部分はあったと思います。

 でも、2008年の全英女子オープンの時とはまるで違って、今年の全英女子オープンの最終日、最終組からは、重苦しい空気が一切伝わってきませんでした。渋野さんが、メジャー優勝への重圧を感じている様子もなく、明るく、ハツラツとプレー。ニコニコしながらメジャーを勝った選手は今まで見たことがなく、他の選手や関係者に、いい影響を与えたと思いますね。