2019.12.28

渋野日向子の強さを精神科医が分析
「バウンスバックはしなやかさの表れ」

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

精神科医・和田秀樹が分析~渋野日向子の魅力(前編)

海外メジャーの全英女子オープンを制して、一躍脚光を浴びた渋野日向子。その後も、国内ツアーで活躍し、女子ゴルフ界を大いに盛り上げた。そんな彼女の強さについては、技術面をはじめ、あらゆるところで語られているが、精神科医から見たらどう映っているのだろうか。今回、和田秀樹先生に話を聞いてみた――。

渋野日向子が持ち合わせる「厚かましさ」が全英女子オープン制覇にもつながった 渋野日向子さんについて詳しくは知りませんが、テレビなどで見ている限り、心理的なコンディションがいいときは、いいパフォーマンスを出せるし、それがダメなときはパフォーマンスもよくない。悪い言い方をすれば、「子ども」ですよね。ということは、メンタルを強くすれば、これからさらにいい選手になれるのではないでしょうか。心理的なコンディションをどういうふうに高く保っていくかが、今後は重要になると思います。

 日本の経営者は、気分が落ち込んでいるときに悲観的な判断をしてビジネスチャンスを逃してしまい、逆に軽い躁状態みたいになっているときに楽観的な判断で投資して、失敗してしまうことがよくあります。つまり、経営判断がメンタルにすごく影響されているのに、彼らは、精神科医や心理学者、臨床心理士といった人をアドバイザーにつけない。そこが、日本の経営者のダメなところだと思っています。アメリカなどでは、経営者にはたいていメンタルのカウンセラーがついていますから。

 それに比べれば、スポーツの選手は専門のアドバイザーをつけていることが多いと思います。あるいは、専門でなくとも、コーチがその役割を担っている場合もあるでしょう。テニスの大坂なおみさんを見ていても、コーチとの心理的なつながりによって、あれだけ大きく成績が変わってしまいますよね。それを考えれば、スポーツ選手にも心理面のサポートをしてくれる人が必要なのは間違いないでしょう。

 渋野さんはどちらかというと、わりと子どもっぽくて、楽観的な人のように見受けられます。実際、21歳ですから、まだ若いですし。全英女子オープンで優勝したときのように、心理面で自分が「イケる!」と思ったときにはいいパフォーマンスを出せるけど、それがちょっと不安な方向に傾いてしまうと、ガタッとくる可能性があるように思います。これから期待が大きくなればなるほど、心理的なプレッシャーもかかるだろうし、それを乗り越えていくためにも、やっぱり物の見方や考え方を変えていくことが大事になってくるでしょうね。