角田裕毅「危険なドライビングでフェアじゃない」 捨て駒戦略で入賞したハースの言い分は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ハースを非難することは簡単。しかし角田は...】

 17周目のマグヌッセンの強引なオーバーテイク(とペナルティ)がきっかけで発動したこの捨て身の戦略は、マグヌッセンの巧みなブロックとハース自身の速さもあって成功した。

 特に29周目のターン1で一度は前に出かけた角田に対し、失うものがないマグヌッセンは強引にアウトから被せてターン2のインに飛び込み、角田を押し出してポジションを守り抜いた。本来なら1台分のスペースを残さないこのドライビングもルール違反だが、さらに10秒加算を受けたとしてもブロックを続けられたという意味では同じで、マグヌッセンは「無敵の人」であった。

「あれはかなり危険なドライビングでしたし、実際にターン2でぶつかりそうになっていました。フェアだとは言いません。でも、彼の立場になれば理解はできます」(角田)

 結局のところ、ハースはルールのなかで戦い、RBに勝った。

 問題があるとすれば、ハースではなく、ルールのほうだ。今後のフェアなレース維持のために、ルールの穴を塞ぐ必要はあるだろう。しかし、今日この時点でのルールで行なわれたレースのなかでは、ルールどおりに戦い、ルールに沿ってペナルティを受け、それでも入賞を果たしたハースが勝者なのだ。

 逆に、角田はペースが振るわず、その後マグヌッセンとのバトルの隙を突かれてエステバン・オコン(アルピーヌ)やアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)にも抜かれて、14位でフィニッシュするのがやっとだった(レース後にアンセーフリリースに対するペナルティで15位に降格)。実際、ヒュルケンベルグがピットインを済ませて自由に走れるようになったマグヌッセンは、大幅に角田を上回るペースで周回する速さを持っていた。

 ハースを非難することは簡単だが、角田は自分たち自身に足りなかった部分に目を向けている。入賞を果たせなかった本質的な原因はそこだということがわかっているからだ。

「実際には僕が彼を行かせてしまったことが発端です。それは僕のミスです。(エステバン・)オコンやアレックス(・アルボン)に抜かれたのも、僕が100パーセントの仕事をしていれば防げたことですし、そうしていれば前のクルマ(マグヌッセン)を抜き返すこともできたと思います。僕自身、改善しなければいけないところがたくさんあったと思います」

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