角田裕毅、スワップ騒動を経て「雨降って地固まる」 ニューマシンはQ3突破&ポイント奪取の能力高し

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 夜になれば気温が20度を下回り、吹きつける強い風が肌寒さを感じさせたバーレーンから、わずか2時間のフライトで降り立ったサウジアラビアのジェッダは、隣国というのが嘘のような暑さだった。

 世間はあいかわらず、開幕戦バーレーンGP決勝の出来事について賑やかだった。チーム(ビザ・キャッシュアップRB/以下RB)の戦略ミスというよりも、ドライバースワップの指示による両ドライバー間の緊張、そして両ドライバーとチーム首脳陣との緊張を煽るような記事やコメントが溢れかえっていた。

サウジアラビアでリラックスした表情の角田裕毅 photo by BOOZYサウジアラビアでリラックスした表情の角田裕毅 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る チームは土曜の夜、レース内容を振り返って分析する通常のデブリーフィングが終わったあとに、今回のドライバースワップの件についてじっくりと話し合ったという。

「特にドライバースワップのことについて話し合いましたし、お互い理解し合ったので、そこが一番重要なことかなと思っています。(ダニエル・リカルドとは)1対1での話は特にないですけど、チームとみんなで話してお互いのことを理解して、特にわだかまりもないですね。

 デブリーフィングはふだんどおりクルマのことを話しましたし、ドライバースワップについての話とは分けて、今後に向けてクルマを速くできるように、僕としても気持ちを入れ換えて話をしました」

 そう語る角田裕毅の視点で見れば、ケビン・マグヌッセン(ハース)を攻略できそうなところで譲れと言われたことには不満を感じるだろうし、最後にポジションを戻してもらえなかったことにも不公平さを感じる。

 その一方で、ダニエル・リカルドの視点に立てば、新品ソフトを履いて速いペースで追い上げてきたのだから、抑え込むことなく先行させてくれればマグヌッセンを攻略できたはずだという思いもある。

 つまり、誰かが「正義」で誰かが「悪」ということではなく、お互いが相手に不満を感じるようなチームオーダーだったことは確かだ。

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