角田裕毅が怒りのチーム批判「すべてが間違っている」 大成功したリカルドと同じ戦略を採っていれば... (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

角田裕毅のチームメイトになった34歳のリカルド角田裕毅のチームメイトになった34歳のリカルドこの記事に関連する写真を見る

【リカルドが選んだ最高の戦略】

 ピットでのミスは、角田が停止線より30cmほど行きすぎてしまったことも影響しているため、チームクルーだけを責めることはできない。それにこの時点では、まだボッタスとアルボンの後方で中団トップを争う位置にとどまっており、レース序盤と同じく第2スティントも引き続き中団グループ上位集団のトレインの中で走ることができていた。

 つまり、この後の展開次第では、まだまだ挽回のチャンスはあったのだ。

 一方のリカルドは、1回目のピットストップは不発に終わり、この段階ではまだ最下位にとどまっていた。それを見ても、やはり重要なのは「この先だった」ことがわかる。

 29周目、リカルドはたったの10周でハードタイヤを捨て、2回目のピットストップに動いた。残り40周をミディアムで走るという、ライバルたちの意表を突いたギャンブル的戦略だ。

 リカルドがこう動いたのには、理由があった。

「1回目は比較的早めにピットインすることにして、それでまたトラフィックの中に戻ることになってしまった。その時は何をやるにしてもクリーンエアで走れるようにしてほしいと思ったよ。それがとても重要だった。

 そうでなければ、もっとガッカリのレースになっていたかもしれない。ここは抜きにくいサーキットだし、僕らは少し最高速が遅かったしね。だから今週末は、最高の戦略を実行することが重要だったんだ」

 アルファタウリのマシンは、予選よりも決勝のほうが速い傾向がある。しかし抜けないハンガロリンクでは、前に引っかかってしまえばその実力をフルに発揮することはできない。

 だからリカルドは、ライバルたちとピットストップのタイミングをずらし、前に誰もいない状況で本来のペースで走ることを最優先に戦略を構築するべきだ、というコンセプトを明確に据えていた。これが大きかった。

 リカルドはトレインの先頭を走るアルボンより2周、ストロールやサージェントより5周、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)や周冠宇(ジョウ・グアンユー/アルファロメオ)より9周も早くピットイン。前に誰もいない状態で本来の速さを引き出すことによって、5台をアンダーカットすることに成功した。

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