角田裕毅が挑む「ラクではない週末」 劣勢でも入賞を奪い取る腕の見せどころ (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【ポイントを奪える可能性は?】

 まずは金曜の予選に集中し、決勝に向けたロングランは土曜に行なわれるスプリントレースを活用する。いずれにしても上位勢に波乱がなければ8位までしか入賞できないスプリントレースは、中団勢にとってそういう位置づけになる。

 そして、ここ数戦の課題のひとつとなっている予選で上位グリッドに行くこと。それができれば、レースはもっとラクに戦うことができる。

「もちろんパフォーマンス次第ではありますけど、今回はアグレッシブに攻めて、ポイントが獲れる機会があれば獲りにいって、予選から最大限にパフォーマンスを出しきれればと思います」

 マシンのアップデートもラッシュを迎え、シーズン序盤戦で学んだ蓄積がようやく形となって現われてきたチームが続々と改良型パッケージを投入している。

 上位勢はヨーロッパラウンド開幕前後に大きな進化を遂げてきたが、中団勢でもウイリアムズが前戦カナダで1台目にアップデートを入れたのに続き2台目にも投入。マクラーレンもBスペックマシンと言えるほどフロアやサイドポッドを中心とした大型アップデートを持ち込んできた。

 アルファタウリにとって決してラクな状況ではないが、開幕からここまでの戦いを見てもわかるように、マシンの速さだけで勝負が決まるわけではない。そのパフォーマンスをフルに引き出すドライバーと、レース週末をミスなく完璧に運営するチームの力がすべて噛み合った時、入賞圏の狭き門をくぐることができる。それが今のF1だ。

 ここまで、ほぼすべてのレースで何度もその門をノックし、時にはその中に入っていながら、ほんの小さな綻(ほころ)びでそれを逃してきたのがアルファタウリと角田裕毅だ。逆に言えば、自分たちが完璧なレースをすれば、決して簡単ではない入賞を果たすことができる。

 シーズン後半戦へ向けて勢いを取り戻すためにも、いま一度、ここで完璧なレース週末を遂げてもらいたい。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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