角田裕毅が挑む「ラクではない週末」 劣勢でも入賞を奪い取る腕の見せどころ (2ページ目)
【空気抵抗を減らしたいが...】
舞台となるレッドブルリンクは、シュタイアーマルク州の山の緩やかな斜面に位置するサーキット。3本の長いストレートを中速コーナーでつないだようなレイアウトだ。
最高速とコーナリング性能のバランス──つまり、ダウンフォースとドラッグ(空気抵抗)のバランスが重要になる。アップデートで徐々に改善されつつあるとはいえ、ライバルに比べて空気抵抗が大きいアルファタウリにとっては難しい課題になる可能性が高い。
「(コーナーは)ほとんどが中速から中高速コーナーで、かなりのダウンフォースが必要です。でも長いストレートもあるので、少しでもドラッグは減らしたいところです。なので、個人的にはラクではないチャレンジングな週末になるのではないかと思っています」
アゼルバイジャンやカナダのようにダウンフォースを削って"直線番長"的なセットアップに決め込むなら、低速コーナーはメカニカル性能とドライバーの腕でなんとかカバーできる。しかし、空力性能が必要とされる中高速コーナーはダウンフォースがなければ、いかんともしがたい。それが今週末の大きな問題になりそうだ。
モナコで課題となったブレーキ温度について、スペインとカナダではエンジニアとのコミュニケーションも含めてアプローチを改善したことで、再発はしていない。このレッドブルリンクでもヘビーブレーキングポイントが4カ所もあるため、ブレーキへの熱入れはそれほど大きな問題にはならないはずだ。
しかしオーストリアGPは、今季2度目のスプリントレース週末。たった1度のフリー走行のみで、金曜午後に行なわれる予選に臨まなければならない。マシンセットアップにあてられる時間はほとんどなく、いつものように金曜夜にファクトリーでシミュレーションを重ねてセットアップを改善することもできない。
走りはじめの仕上がりが重要だからこそ、角田自身もイギリスにあるレッドブルのファクトリーに行き、事前シミュレーター作業をいつも以上に入念にやってセットアップ作業を行なってきた。
「今週末は金曜の午後にすぐ予選に臨まなければならないので、FP1からマシンをよい状態にしておくことが必要です。今週末に向けてはシミュレーターでかなりの準備をしてきましたし、その作業がいつも以上に重要になります。FP1からセットアップを煮詰めていって、最初から自信をビルドアップしていければと思っています」
2 / 3