今季のスーパーGT最速マシンは「日産・新型Z」でほぼ確定。雨のSUGOでもライバルが脱帽するくらい速かった (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

日産勢が6戦中3勝をマーク

 3号車と23号車は、他メーカーのタイヤを履くライバル勢より1周あたり2秒近く速いペースで周回。あっという間に1位・2位を独占した。最終的には3号車が今季2勝目をマークし、日産勢としては2021年の第4戦・鈴鹿以来となるワンツーフィニッシュを飾った。

「天候に左右されて状況が刻々と変化するなか、常にピットと交信しながら走っていました。今回はミシュランのウェットタイヤに救われましたし、島田(次郎)監督と根岸(圭輔)エンジニアの的確な判断で戦略面もうまくいきました」(3号車の千代)

 そして、3号車と23号車に劣らず圧巻の走りを見せた日産マシンがもう一台ある。第5戦で優勝してランキング首位に立ったナンバー12のカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バケット)だ。

 今回のSUGOでは89kgと非常に重いサクセスウェイトを背負っていたため、予選14番手に沈んでからのスタートとなった。しかし決勝では、雨のなかで装着したブリヂストンのウェットタイヤがコンディションに合っていないと判断すると、すぐに別の種類のウェットタイヤに交換。3号車や23号車よりさらに速いペースで周回していき、最終的に5位でフィニッシュしたのだ。

 サクセスウェイトの搭載量を考えると、入賞するのも難しかった。だが、そんな状況下で5位まで挽回できたのは、チャンピオン争いを考えると大きな前進と言えるだろう。

「僕たちは雨が強くなっていくと踏んでウェットタイヤを選択したけど、実際には雨が止んで路面も徐々に乾きはじめていった。コンディションに対してタイヤが合わなくなってしまって、もう一度ピットに入って別の種類のウェットタイヤを装着したら、ペースは非常によかった。チームも柔軟に対応してくれて、戦略面でもうまくいったよ」(12号車のバケット)

 SUGOでのレースを終えて、新型Zの日産勢はここまで6戦中3勝をマーク。どこのサーキットでも高いパフォーマンスを発揮している。

 勝利を逃したレースを見ても、開幕戦・岡山ではレース後半に追い上げた23号車が3位表彰台を獲得。第2戦・富士では3号車がクラッシュに見舞われるまで優勝争いに絡む好走を見せ、12号車が3位。そして第4戦・富士でも日産Zが終始トップ争いに絡む活躍を見せ、12号車が2位、ナンバー24のリアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)が3位に入った。

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