角田裕毅の16位には大きな価値があった。不協和音の空気に耐え、弱さと向き合い、そして克服した (3ページ目)
レース前の決意を守り抜いた
中団グループ上位勢についていくことはできず、アルファロメオの周冠宇を抑え込むので精一杯だった。それでも1回目のピットストップを終えても周冠宇を抑え続け、一度は抜かれても2回目のピットストップで周が5秒加算ペナルティを消化したため再逆転して、54周目までポジションをキープして見せた。
生き残った17台中17位でフィニッシュし、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)の5秒加算ペナルティで繰り上がり、リザルトは16位。
オーストリアGPを制したのはフェラーリのルクレールこの記事に関連する写真を見る リザルトとしては、取るに足らない結果かも知れない。しかし角田にとっては、大きな意味のある71周のレースだった。
フラストレーションの溜まる状況下で、いかに自分の精神状態をコントロールしていたのか?
そう聞くと、角田はこう答えた。
「今までの自分だったらフラストレーションが溜まって、集中力を欠いてしまうような状況だったと思います。だけど、今日はレース全体を通して集中力を保ってコンスタントな走りができたと思います。
10周目よりも前に2回のトラックリミット違反を犯したと言われたあとも集中して(4回の)トラックリミット違反でペナルティを科されることもありませんでした。そういうレースができたのはポジティブなことだと思っています。
僕としては全力を出しきれました。シルバーストンではとっ散らかった週末になってしまいましたが、今後はどんな状況下でも落ち着いてこういうレースができるようにしていければと思っています」
レース前の決意を守り抜き、角田は最後まで自分をコントロールした。チーム内での不協和音に押しつぶされそうになったこの2連戦だったが、角田はそれを乗り越えた。そしてマシンの不調も乗り越え、自分の弱さと向き合い、克服した。
16位というリザルトだけではわからない。大きな価値を手に入れた。
次は万全に整ったマシンで臨み、レーシングドライバーとしてさらに一歩成長した姿を見せてもらいたい。
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