MotoGP次代を担う超逸材がポールポジション獲得。時代は動きつつある

  • 西村 章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

ルーキーながら第2戦予選でポールポジションを獲得したホルヘ・マルティンルーキーながら第2戦予選でポールポジションを獲得したホルヘ・マルティン カタールのロサイルインターナショナルサーキットで2週間連続のナイトレースとして行なわれた2021年のMotoGP開幕2連戦は、第1戦のカタールGPがマーヴェリック・ヴィニャーレス(Monster Yamaha MotoGP)、第2戦のドーハGPはファビオ・クアルタラロ(同)と、ともにヤマハファクトリーチームの選手が制する結果になった。

 ヤマハは、昨シーズンも最初の2連戦で、当時はまだサテライトチームに所属していたファビオ・クアルタラロが連勝を挙げ、ヴィニャーレスがともに2位に入る、というスタートダッシュを決めた。しかし、その2戦でエンジン内部のトラブルという文字どおりの火種を抱えている不安材料が明らかになったことや、好不調の差が激しいライダーたちの不安定さなど複数の要因が絡み合って、シーズン半ば以降のヤマハはタイトル争いから脱落してしまった。

 その意味では、今年の開幕2戦で好調な滑り出しを決めたとはいっても、この結果だけをもってシーズン全体の帰趨(きすう)を語るのは、あまりに早計なのかもしれない。実際に両選手とも、レース後に「今年が去年と違うかどうかを語るのは、まだ2戦を終えたばかりなのでなんともいえない」と慎重に回答している。

 とはいえ、昨年のようにエンジンの不利を抱えながら戦っていく必要がなく、さらにライダーふたりは精神面で昨年以上に成熟しているようで、レースウィークのセッション順位や決勝レースのポジションに一喜一憂することなく、落ち着いた戦い方を見せているのは、ヤマハ陣営にとって心強い要素といえそうだ。

 優勝したクアルタラロは2列目5番グリッドからスタート。レース序盤で9番手に順位を落としたものの、そこからポジションを挙げてトップグループへ追いつき、終盤でトップに立つと、後続を引き離しながらトップでチェッカーを受けた。

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