角田裕毅、速さは本物。スーパールーキーの真骨頂は次戦のお楽しみ (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 計算上それは成功し、残り数周でフェルスタッペンはハミルトンに追いついた。しかし残り4周となったターン4でオーバーテイクを仕掛けるも、リアがスナップしてコース外にはみ出してしまい、ポジションを譲り返すことになる。

 この1度のアタックでフェルスタッペンのタイヤはグリップを失い、これによって再逆転のチャンスは失われてしまった。レース序盤から低速コーナーの立ち上がりで片輪だけデフが滑る問題を抱えていて、その影響もあったようだ。

「もちろん楽しんだよ。でも、2位に終わったからガッカリでもある。F1のレースではトラックポジションがどれだけ重要かということを証明したと思う。相手よりもいいタイヤを履いていて、気持ちよくギャップを縮めていけたとしても、背後に接近してくるとグリップは失われてしまうんだ。とくに今日のように風が強かったり、僕のように低速コーナーでクリティカルな問題を抱えているとね」

 自分たちのレースをやり切り、計算上は勝った。オーバーテイクさえ成功していれば、優勝していたのはレッドブル・ホンダとフェルスタッペンだっただろう。それだけの速さと強さがあることは証明してみせた。

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 理由のない勝利はあっても、敗北には必ず理由があるという。そういう意味では、今回の敗北の理由ははっきりと見えていて、それも十分に解決が可能なものだ。

「去年の僕らなら、この結果はこのうえなくハッピーだったはずなのに、今はガッカリしている。つまり僕らは、間違いなく大きく前に進んだということだ」

 フェルスタッペンの目には、間違いなく2021年のチャンピオン争いが見えている。

 そして、F1で最後のシーズンを戦うホンダにとっても、1戦1戦を悔いのないよう戦いきるという信念を貫いた。金曜に問題が発生した角田のマシンを徹底的に調査し、夜間作業禁止規定を超えて準備を整えたのも、その表われのひとつだった。

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