ロッシ、悪夢の2年間。MotoGP伝説の王者の再戴冠はあるのか? (3ページ目)
ロッシの苦戦は続いた。
不調に苦しんだドゥカティ時代のロッシ 前半戦を締めくくる7月末の第10戦、米国カリフォルニア州ラグナセカサーキットで開催されたU.S.GPの決勝レースを、ロッシは転倒によるリタイアで終えた。その日の夕刻、知己のイタリア人ジャーナリストから「バレンティーノのヤマハ復帰が決まったようだ」という話を聞いた。そして3週間後の後半戦初戦の第11戦インディアナポリスGPで、古巣ヤマハへの移籍が正式に発表された。
ヤマハへ復帰した13年、ロッシは34歳になっていた。この年はまた、かつてのマックス・ビアッジやセテ・ジベルナウ以上の宿敵となってゆくマルク・マルケスが20歳の若さでホンダファクトリーチームへ昇格してきたシーズンでもあった。
きらめく才能で多くの注目を集めるマルケスを、初めのうちはロッシも高く評価した。自分より一回り以上若い天才の台頭を素直に認め、絶賛することもいとわなかった。
マルケスはいくつもの最年少記録を塗り替えて、13年の王座に就いた。一方、ロッシはヤマハ復帰後初のレースとなった開幕戦カタールGPで表彰台を獲得し、第7戦オランダGPでは優勝。シーズンを終え、計6戦で表彰台に上がって年間ランキングを4位とした。翌14年は2度の優勝を含む13回の表彰台でランキング2位。ヤマハに戻って本来の調子を取り戻しつつあるロッシと、レース界の記録を次々に更新していくマルケスの世代を超えた天才対決は、世界各地のサーキットを大いに盛り上げた。
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