2020.06.11

ロッシ、悪夢の2年間。MotoGP伝説の王者の再戴冠はあるのか?

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡(1)
バレンティーノ・ロッシ 下

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。
1人目に紹介するライダーはバレンティーノ・ロッシ。なぜロッシは「史上最強ライダー」と呼ばれるのか。今改めて彼の強さと魅力を読み解いていこう。

ドゥカティ時代のバレンティーノ・ロッシ
 ドゥカティ・チームで過ごした2011年と12年は、バレンティーノ・ロッシにとっておそらく悪夢のような2年間だっただろう。

 2000年の最高峰クラス昇格以降、7回の年間総合優勝を達成。王座を逃したシーズンでも年間ランキング2位もしくは3位(各2回)で終えた「偉大なチャンピオン」が、ドゥカティで過ごした2年間計35戦で表彰台を獲得した回数は、2位が2回、3位が1回のみ。年間ランキングは、11年が7位、12年は6位、というありさまだった。

 ロッシもドゥカティも、ここまで極度の不振に悩まされるとは夢にも思わなかっただろう。07年にドゥカティに初の世界タイトルをもたらしたケーシー・ストーナーは、08年から10年までに13勝をあげた。ストーナーは11年にホンダファクトリーへ移籍し、開幕戦のカタールGPでいきなり優勝。以後のレースでも優勝争いを続け、やがてこのシーズンのタイトルを獲得するに至る。対照的に、ロッシはマシンとの相性に苦しみ、思うような成績をあげられないレースが続いた。