王者マルケスと真っ向勝負!0.013秒差でねじ伏せたリンスが2勝目 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「そう、マルケスとバトルして彼の前でゴールする、この勝ち方を待っていたんですよ。アレックスに心からおめでとうと言いたいですね」

 技術監督の河内健も、「チームとライダーが、本当にいいレースをしてくれました」と破顔した。

「もちろん表彰台争いをする自信はありましたけれども、マルケス選手が予選で非常に速かったし、ヤマハさんは4台揃って非常にいいところに来ていたので、厳しい争いになるだろうという覚悟はしていました。

 アメリカの勝利が棚ボタだったとは言わないですけれども、今日は真っ向勝負で勝てたのだから、非常に価値のあるシーズン2勝目だったと思います。技術者としても、我々の開発してきた方向性は間違っていなかったんだという自信になりました」

 6月にブリビオと話をした際に、チャンピオン獲得の可能性について訊ねると、「今シーズンは難しいと思う。でも、来季はタイトル争いをできる」という返答が戻ってきた。今回のレースを終えて、スズキは最強チームの一角に成長したと言えるかと、あらためて質問してみたところ、「最強の一角、とまでは言えませんよ。ただ、強豪チームのひとつだと胸を張って今は言えるだろうし、我々はずっとそれを目指してきたんです」と、ブリビオは笑顔で答えた。

「今後は毎戦、表彰台争いと、可能なら優勝も狙っていきます。もちろん簡単でないことはわかっていますが、シーズン最後までそこを目指して戦っていきます」

 スズキは2016年のイギリスGPで、活動休止期間を経た参戦復活後の初勝利を挙げており、シルバーストンはこれで2勝目になる。2016年のレースは冷えた温度条件に助けられた側面もあったが、今回は復活後3回の優勝のなかで最も完璧な優勝、と言っていいだろう。

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