F1後半戦展望。スペック4投入で
レッドブル・ホンダが主役に躍り出る
開幕戦オーストラリアGPで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台に立ち、ホンダは2015年のF1復帰以来初の表彰台を獲得した。
チームは喜びに沸き、華々しいシーズンの開幕を切ったように見えた。しかし、それは喜びの反面、トップとの差という現実を突きつけられた厳しい結果でもあった。
シーズン後半戦、レッドブル・ホンダの快進撃はいかに?「あの3位はめちゃくちゃうれしかったんですけど、でも同時に、やっぱり勝つって大変だなと実感しました。トップのメルセデスAMGについていけるという感覚すらありませんでしたから」
ホンダの山本雅史マネージングディレクターは、開幕当初の状況をそう振り返る。
開幕前は、聞かれるたびに「モナコGPまでに勝つこと」を目標として掲げていた。それは、自分たちにプレッシャーをかけるための言葉のようにも聞こえたが、実際にはモナコで勝つのはかなり難しい状況だった。今年のメルセデスAMGは低速コーナーの速さを徹底的に磨き、昨年までのレッドブルの最大の武器であった低速域での速さは、もう完全に失われてしまっていたからだ。
車体同様、ホンダのパワーユニットもトップとは差があった。
しかし、第9戦・オーストリアGPで車体が大きな飛躍を見せたのと同じように、パワーユニットも進歩した。
ホンダジェットの技術が盛り込まれたスペック3が投入されたのは第8戦・フランスGPだったが、どうしてその翌戦になって急に飛躍したのか?
「シーズン前半戦で一番印象深かったのは、フランスGPでマックス(・フェルスタッペン)がスタートでシャルル・ルクレール(フェラーリ)に並びかけて一瞬抜きかけたのに、その後に軽く千切られてしまったことです。実はあの時、ホンダ勢のなかでマックスのマシンだけがオーバーヒートしていて、セーフモードに入って急激なパワーロスが生じてしまったんです」
そのデータ分析によるオーバーヒート対策が、メルセデスAMGさえ熱に苦しむほどの酷暑に見舞われた1週間後のオーストリアGPで大きな力を発揮したのだと、山本マネージングディレクターは明かしてくれた。
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