2019.06.28

最速男がいても何か足りない。
米レース界の名門アンドレッティの現在

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 NTTインディカー・シリーズ第10戦ロードアメリカで、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が今季2勝目を挙げた。

 第4戦ロングビーチでは、ポールポジション(PP)からぶっちぎりで優勝を果たしたロッシ。今回はPPこそスーパールーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)にさらわれたものの、予選2位でフロントロー外側グリッドからスタートすると、すぐさまターン1でアウトからハータを抜き去り、そこからはグイグイとリードを広げていった。結局、55周のレースで2位に28秒もの大差をつけてゴールし、ポイントトップをいくジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)との差をわずか7点に縮めた。

 ロングビーチと同様、ライバルをまったく寄せ付けない走りでの勝利。これが今のロッシの実力だ。同じマシンを与えられているチームメイトたちも、彼と同じスピードでは走れないことがほとんどで、今回は誰よりも1周につき0.5秒速く走り続けた。最後までペースが落ちることがなかったのに、燃費もまったく心配いらなかったというのだから、ライバルたちも完全に脱帽だ。

ロードアメリカでは圧倒的な速さを見せたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート) これでシーズン後半戦に向け、ロッシが念願の初チャンピオンとなる可能性が高まった。ここまで2勝しかできていないのは、彼が不運に見舞われることが多かったからで、「普通に戦えば勝てる」と言うこともできる。そうなれば、アンドレッティ・オートスポートにとっては5回目のシリーズ制覇となる。

 アンドレッティ・オートスポーツのルーツは1993年創業のフォーサイス・グリーン・レーシング。1995年にチーム・グリーンに変わり、2003年からマイケル・アンドレッティが経営陣に加わって、アンドレッティ・グリーン・レーシングになった。2010年からはマイケルが単独でチームを仕切る体制となり、チーム名もアンドレッティ・オートスポートとされた。

 マイケルは優勝回数が歴代4位の42勝、PP獲得も歴代9位の32回を記録し、1991年にシリーズチャンピオンにもなっている。ただし、1996年から2002年まで、アメリカのトップオープンホイールはCARTシリーズとIRLに分裂しており、マイケルはインディ500の属さないCART側で走っていた。キャリアのベストの時期にインディ500は戦えておらず、インディ500での優勝はない。