2019.06.29

レッドブル・ホンダの悲しい現実
「フェラーリ2台がミスれば表彰台」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 1年前のオーストリアGPは、レッドブルファンとフェルスタッペンファンで満員のレッドブル・リンクが熱狂に包まれた。チームの地元レースで、マックス・フェルスタッペンがシーズン序盤の不振を払拭して完全勝利を挙げたからだ。

レッドブル・ホンダは地元レースで結果を残すことができるか ルノー製パワーユニットを搭載していた昨年は、レッドブルにとってレッドブル・リンクは「チャンスのない」サーキットだった。2014年に開催が再開されて以来、一度も勝利に恵まれるどころか、そのチャンスすらなかった。

 しかし、急に暑くなった日曜の決勝で、ライバルたちがタイヤのオーバーヒートとブリスターに苦しむなか、フェルスタッペンは完璧なタイヤマネジメントで勝利を掴み獲ったのだ。

 ホンダとタッグを組む今年も勝てるのか?

 その問いに対するフェルスタッペンの答えは、素っ気ないものだった。

「あまり高くないだろうね。今年はちょっと厳しいだろう。勝つためには、かなり運が必要だ」

 ポール・リカールで4位に入ったフェルスタッペンだが、それはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が予選でミスを犯し、7番グリッドに沈んだからだ。何事もなければ、予選ではメルセデスAMGとフェラーリの計4台の後ろで5位、決勝もそのまま5位、という結果になっていた可能性が高かった。

 レッドブル・リンクでもその勢力図は変わらないだろうと、フェルスタッペンは語る。

「上位で何も混乱がなければ、4位か5位だろうね。4位になるか5位になるかは、フェラーリがミスを犯すかどうかだよ。3位になるためには、フェラーリの2台ともがミスを犯す必要がある。もちろん、可能性がゼロってことはないけど、今の僕らはとにかく速さが足りない」

 ポール・リカールでもトップスピード不足が問題になり、ストレートでタイムを失った。

 ひとつは、ホンダのパワーが足りないこと。とくに予選では、ライバルたちがアタックの瞬間だけ「パーティモード」と呼ばれるアグレッシブな点火時期セッティングでパワーを捻り出してくるのに対し、ホンダはICE(内燃機関エンジン)へのダメージを考慮して、まだ十分なパワーを引き出せていない。これによって差が開いてしまう。