レッドブル・ホンダ、空力性能の改善が急務。
スペック3投入も結果出ず

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 第8戦・フランスGPの舞台ポール・リカールは、レッドブルのチーフテクニカルオフィサーを務めるエイドリアン・ニューウェイにとって思い出の地だ。

 1990年にここで開催されたフランスGPで、自身の設計したレイトンハウスが快走を見せて2位に入賞した。ただし、あまりに空力にこだわった彼のマシンは繊細で、マシン姿勢が変化しやすいバンピーな路面では扱いづらく、成績は低迷。路面がフラットなこのポール・リカールで、ようやくその実力を発揮したのだ。しかし皮肉にも、それはニューウェイ自身がチームを解雇された直後のことだった。

スペック3を投入するも、2強にはまったく歯が立たなかったスペック3を投入するも、2強にはまったく歯が立たなかった それから30年が経ち、ポール・リカールでの開催復活から2年目となる今年、スペック3パワーユニットと車体のアップグレードを投入したレッドブル・ホンダだったが、惨敗と言っていい結果に終わった。マックス・フェルスタッペンは予選4位・決勝4位という結果を得たが、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが予選でミスを犯していなければ、メルセデスAMGとフェラーリの4台に割って入ることは難しかっただろう。

「フロア、リアウイング翼端板、ミラーなど、今回投入したエアロのアップデートはすべて想定どおりに機能してくれたよ。その結果には満足している。しかし、さらに大きな改善が必要なことも明らかだ」

 レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ヴァシェはそう語る。

 メルセデスAMGは中低速コーナーが速く、セクター3をはじめとした曲がりくねったセクションで速さを発揮する。フェラーリはパワフルなパワーユニットと空気抵抗の少ない空力で、直線区間で速さを発揮する。

 しかし、レッドブルにはそのどちらもない。

「ウチは、低速コーナーはいいんだ。しかし、空力性能が必要とされる中高速コーナーで、メルセデスAMGに大きく負けている」(ヴァシェ)

 そのため、レース週末を通して全体的なグリップ不足に苦しみ、ダウンフォースを削ってストレート車速をライバルに合わせ込むことができなかった。結果、ストレートで遅く、中高速コーナーでもトップに立てない中途半端なクルマになってしまった。空力アップグレードを投入したとはいっても、前戦カナダGPとまさに同じような状況に陥ってしまった。

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