2019.06.22

MotoGP元王者が長期低迷。
ロレンソがホンダに順応する日は来るのか

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「不屈」という言葉の定義について、ホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)はつい先日に自らのツイッターアカウントで、以下のように定義した。

「逆境に対応できる力、苦痛を受けてもそれを乗り越えて、さらに強靱さを増す力へ変えること。不屈を知る人物は、幸福と運命を切り開くのは己自身であることをわきまえている」

カタルーニャGPで多重クラッシュを生んでしまったホルヘ・ロレンソ では、ここで質問。5回の世界タイトルと、通算65勝以上を挙げている選手と言えば、誰だろう?

 ジャコモ・アゴスチーニ、バレンティーノ・ロッシ、アンヘル・ニエト、マイク・ヘイルウッド、あとほかに誰がいたっけ? なるほど、彼らはみな、不屈の魂の持ち主だ。だが、ここでロレンソの名前を出すことに疑いを持つのなら、その人の記憶力はかなり怪しいかもしれない。

 昨年のムジェロ(第6戦・イタリアGP)で勝った選手を、あなたは憶えているだろうか。思い出せないのだとすれば、それはおそらく、ロレンソがここしばらくのあいだ直面している「逆境」の深刻さゆえ、なのかもしれない。だからこそ、彼はツイッターのフォロワーたちに対して、自分が不屈の人であることを、そしてその逆境から立ち上がることができることを示す必要があったのだ。

 この投稿に添えられていたのは、ロレンソが10コーナー外側のマーシャルポストで、コースマーシャル用の椅子に腰かけている写真だ。このコーナーは、決勝レースでアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィナウ・ドゥカティ)、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハ MotoGP)、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハ MotoGP)を巻き込んで転倒した場所で、それはまさに、今シーズンのロレンソの低迷を象徴する出来事だった。
 
 現在の彼はランキング15位、わずかに19ポイントを獲得したのみである。今季完走した5戦のうち、ベストリザルトは11位だ。

 レースタイムで見ると、優勝者にもっとも近かった時でも14秒差。すでに4勝を挙げているチームメイトのマルク・マルケスと比較すれば、121ポイントの開きがある。ロレンソがトップテン圏内でゴールしたレースを探してみると、今回の第7戦・カタルーニャGPの決勝日からさかのぼること10カ月と5日前の、昨年の第11戦・オーストリアGPである。