レッドブル・ホンダの奇襲は不発。明確になってしまった2強との差 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、冷静に状況を見ていた。

「(2強を)食えたかもしれないというだけで差はありますし、レースペースも徐々に離されていくところがありましたから、予選ペースもレースペースも両方ともにまだ差があると思います」

 この勢力図は、最もマシンの実力を映し出すサーキットであるバルセロナで走った開幕前テストの段階から、ある程度わかっていたという。

「バルセロナでテストが始まった瞬間から厳しいなと思っていました。ですから、『あわよくば(勝てるかも)』とも思っていませんでしたし、バルセロナも含めて4カ所で走行をしてみて、勢力図は明確になってきていると思います。残念ながらこれが現状の実力ですし、驚いてはいません」

 フェラーリが予選モードの出力面で大きく他社を凌駕していることもある。しかし、メルセデスAMGがトータル性能でフェラーリを凌駕している以上、パワーユニット性能もさることながら、車体性能がより求められることは明らかだ。とくに上海のような一般的なグランプリサーキットでは、その傾向が強くなる。

 その点において、リアのグリップ不足が顕著で高速コーナーが速く走れないRB15の現状は厳しい。パワーユニットで多少の後れを取ろうとも、車体性能でそれ以上にゲインしてライバルに勝つというレッドブルの狙いは、大きく外れてしまっている。

 第5戦・スペインGPをターゲットとした次の大型アップデートで、どこまでそれを取り戻すことができるか。

「最低でも昨年以上の5勝」という開幕前の目標が大きく報じられたが、それはレッドブルのモータースポーツ統括者ヘルムート・マルコが語った個人的な思惑でしかない。チームとしての公式見解は、「トップとのギャップを縮めること」と言い続けている。

 その目標は今も変わらないと、ホーナー代表は語る。逆に言えば、まだまだ今のレッドブル・ホンダの力は2強に及んでいないということだ。

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