最終戦で奇跡の大逆転。山本尚貴、5年ぶりの王座奪還に大粒の涙 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 最後は、山本とキャシディの一騎打ち。優勝したほうが今年のシリーズチャンピオンとなる。最終ラップに入ったとき、両者の差はわずか0.8秒。鈴鹿での最終決戦は、ここ数年で一番の盛り上がりとなった。そして、トップでチェッカーを切ったのは山本。0.6秒差で逃げ切り、今季3勝目を挙げた。

 この優勝により、山本はドライバーズランキングでキャシディを1ポイント上回って大逆転。2013年以来となる2度目のスーパーフォーミュラ王者に輝いた。

「正直、苦しいレース終盤でしたが、ニック(・キャシディ)があそこまで全力で追い詰めてきたからこそ、僕も最後まで気持ちで負けないようにがんばることができました」

 パルクフェルメに戻った山本は、正々堂々と戦ってくれたキャシディのもとへ向かい、健闘を讃えあう握手を交わした。これも、人への気遣いを忘れない山本らしい配慮だ。

「ニックにとって初めてチャンピオンのかかった1戦で、最大のチャンスでした。彼もいろんな期待とプレッシャーを感じていたので、(2位という結果は)ショックだと思います。だけど、『おめでとう』と声をかけてくれて、あらためてニックのすばらしさを感じました。

 その後、ここまで支えてくれたみんなの顔を見たら、感情を抑えることはできませんでした。最高以外の言葉が何も出てこないくらい、特別な瞬間でした。重圧がかかったぶん、その反動で得た喜びがあって......。モータースポーツのすばらしさを、身をもって体感した1戦でした」

 レースが終わるまで閉じていた感情が、最後になって一気にあふれ出た。表彰式で号泣する様は、それまで抱えていたプレッシャーの大きさを表しているだろう。鈴鹿サーキットに訪れた観客からの拍手と声援は、ずっと鳴り止むことはなかった。

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