「また負けちゃったよ」とマルケス。MotoGPは開幕から絶叫バトル (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 全22周のうち17周目までトップを快走していたザルコを、18周目1コーナーのブレーキングでドヴィツィオーゾがオーバーテイクすると、即座にマルケスも反応してドヴィツィオーゾに迫る。その機に乗じてロッシも動きを見せ、前の2台を追った。

「目標はドヴィをコントロールすることだった。タイミングや場所に関係なく、彼がザルコを抜いたら自分もついていこうと思っていた」(マルケス)

 そして、マルケスは最終ラップの最終コーナーでドヴィツィオーゾに乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負を仕掛けた。

 ブレーキングで深く突っ込み、いったんはドヴィツィオーゾの鼻先に出たものの、わずかに外へはらんだマルケスの隙を突くようにメリハリよくクルリと旋回してコーナーを立ち上がったドヴィツィオーゾが鋭い加速でふたたび前を制して、0.027秒早くゴールラインを通過。昨年のオーストリアGPや日本GPの最終ラップをそのまま引き写したような、息詰まる劇的なバトルに勝利した。

 過去3年ずっと2位だったカタールGPで優勝を遂げたドヴィツィオーゾは、開幕戦でまずは並み居るライバルたちに一歩先んじた格好だ。

「戦略的には単独でゴールするつもりだったけど、無理だったね」と、ドヴィツィオーゾは安堵の笑みをうかべた。

「マルクは何かしてくるだろうと思っていた。最終コーナーを完璧にコントロールできてよかった。ドゥカティのパワーを活かして、しっかり旋回できた」

 一方のマルケスは、「いつかこのバトルに勝ちたいけど、また負けちゃったよ」と言いながらも、不得意なコースを2位で終えてまずは及第点といった様子で、「今回は表彰台が目標だったので、いいリザルトになった。5ポイント差でまとめることができたのでよかった」と笑顔で話した。

 一方で3位となったロッシは、この開幕戦が始まる前の木曜に、2019年からさらに2年間のヤマハとの契約更改を発表したばかり。来年以降に40歳を超えてもトップで争えることを、今回のレースで証明した格好だ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る