日本人F1ドライバー候補3名は、
チャンスを前に何を考えているのか
待ちに待った日本人F1ドライバー復活の瞬間が、すぐそこまで近づいてきている。2017年、F1へと"最後の一歩"を踏み出そうとしている若手ドライバーたちがいる。
F1直下のGP2――3年目のシーズンに挑むのが松下信治(まつした・のぶはる)だ。
昨年はF1昇格とGP2王座獲得を意識しすぎたことで、精神的な重圧に押しつぶされてしまった。欧州の舞台からF1を目指す3人。左から松下信治、福住仁嶺、牧野任祐 レースの世界では自信がなければ、コーナリングやブレーキングの攻め方にほんのわずかな差が生じ、アグレッシブに攻めてくるライバルたちにあっという間に置き去りにされてしまう。2016年の松下は、まさにそんなレースが続いていた。
「ノブはもう無理だ」という声も聞こえ始めていたが、その呪縛を吹っ切り最終ラウンドのアブダビで表彰台に乗ったことで、見事に復活を遂げた。
「去年はメンタル面で気負いすぎてしまっていたところがあったと思います。たとえば、バクーでは勝てる展開になったときに、そればかり意識が行って周りが見えなくなってしまったり、そういうことがたくさんありました。自信を持って走れなければ、ここ(GP2)はガンガン来るヤツらばかりだし、押されてしまう場面もあった。去年1年戦って這い上がってきたことで、人間的にも成長できたと思うし、少し大人になったと思います」
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