「おいしい部分が少ないマシン」のF1ホンダ。鈴鹿に向けて秘策は? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

シンガポールの街並みを縫うように走る「マリーナベイ市街地サーキット」シンガポールの街並みを縫うように走る「マリーナベイ市街地サーキット」 ただし、低速サーキットのシンガポールでMP4-31が期待したほどのパフォーマンスを発揮してくれなかったことも、また事実だった。予選の純粋な速さではトロロッソに負け、トップには2秒もの差をつけられてしまったのだ。同じく非力なパワーユニットを積むトロロッソとの差、そしてレッドブルとの1.5秒もの差は、そのまま車体の実力差を表していた。

 事前の期待値が高すぎたという初日からの印象は、最後まで変わらなかった。アロンソは言う。

「正直言って、このサーキットでの僕らは4番目に速いチームではなかった。それでも3強に次ぐ7位を獲得できたのは、戦略のおかげだよ」

 たしかにシンガポールは、パワーをあまり必要としないサーキットだ。しかし、それはマクラーレン・ホンダにとって「苦手ではない」ということでしかなく、必ずしも「得意である」ということではなかった。むしろ、空力優先でデザインされたマシンだけに、メカニカルグリップが重要になる低速コーナーは弱い。モナコで苦戦したように、シンガポールでもそれは変わらなかった。

 だからといって、MP4-31は高速コーナーが得意なわけでもない。最大ダウンフォース量ではトップチームほどの力はないのだ。シンガポールに1セットだけ持ち込まれた新型リアウイングも、金曜にテストされたのみで、実戦投入は見送られた。

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