「おいしい部分が少ないマシン」のF1ホンダ。鈴鹿に向けて秘策は?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 煌(きら)びやかなシンガポールの街並みを縫うように走る「マリーナベイ市街地サーキット」には、ストレートと呼べるような場所はほとんどない。常に要求されるステアリング操作と、コンクリートウォールに囲まれた狭くて曲がりくねったレイアウト、そして夜になっても肌にまとわりつくような暑さと湿度――。シンガポールGPはシーズンでもっともタフなレースだと、F1ドライバーたちは声を揃える。

シンガポールGPで7位入賞を果たしたフェルナンド・アロンソシンガポールGPで7位入賞を果たしたフェルナンド・アロンソ そんなサーキットだからこそ、マクラーレン・ホンダにはチャンスがある。夏休み明けのベルギー、イタリアの高速連戦では苦戦を強いられたが、全開率の低いシンガポールではパワーユニットの非力さが足枷(あしかせ)にならないからだ。少なくとも、そう思われていた。

 だが、金曜日に走り始めてみると、ホンダのドライバーたちの表情は曇った。

「まったくグリップ感がないんだ。アンダーステアとかオーバーステアという問題ではなく、全体的にグリップがプアなんだ。正直言って、ここに来る前の期待値が高すぎたと思う」(フェルナンド・アロンソ)

「ライバルになるだろうと思われるチームと比べると、僕らは全体的にものすごくグリップが低くて苦しんでいる。僕らがベストを引き出し切れていないのも事実だけど、思っていたよりもずっと厳しい週末になりそうだ」(ジェンソン・バトン)

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