決勝でも予選モード。ダブル入賞を生んだホンダ「攻めの秘策」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「(約4000kmという)エンジンライフのなかで、『このくらいなら予選モードを使ってもいいよ』という割合がもともとあるわけですけど、それは限界値で設定されているわけではなくて、『予選はこのくらい使うから』という割合で耐久確認をしたものに過ぎないんです。それより少しでも多く使ったらダメというわけではなくて、『このくらいなら使っても大丈夫?』というのを少しずつ確認しながら広げていっているところなんです」(長谷川総責任者)

 点火時期を早めれば、パワーは出るが、ICEの燃焼室に掛かる負荷が大きくなる。つまり、それだけ寿命は縮まることになる。

「今は年間5基で21戦を戦いますが、このパワーユニットだって性能を抑えて走れば、21戦すべてを走り切ることだって可能なんですよ」

 長谷川総責任者はそう語るが、その逆もまたしかりで、強引に性能を上げればたちまち壊れてしまうことだってある。それでも、この1基を捨ててでも目の前で得られるものを取りにいこう――という"攻めの姿勢"だ。

「ここが勝負だと思えば、壊れるリスクを負ってでも予選モードをどんどん使って、ここでダメージを負って次のレースで交換することになっても構わないというくらいの気持ちで臨んでいる。それはドライバーたちにも説明しているよ」

 マクラーレン・ホンダの別のエンジニアもそう語る。

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