【F1】マクラーレン・ホンダ、モナコGP8位入賞の舞台裏 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 結果の出ない状況で、チーム内に不協和音が出始めているのではないかという報道もあった。ホンダのF1担当でないエンジニアが「このままでは勝てない」と語ったという誤報まで流れた。

 しかし、チームの結束は確かだとバトンは語る。

「ずっとポイントを獲れなくて、周りは『どうしてそんなに時間がかかるんだ?』と言う。F1というのは簡単なものではない。マクラーレン・ホンダは、F1界でも最高のスタッフが揃ったチームだけど、それでも時間はかかるものなんだ」

 そして、彼らが目指しているのはポイントを争うことではなく、勝利に他ならない。だからこそ、モナコGPでの初ポイント獲得は、彼らにとっては通過点でしかない。

「僕らはマクラーレン・ホンダとして大きな進歩を遂げたし、ディテールに目を向ければ今も進歩を続けていることが分かる。だから初ポイントを獲ったからといってもこれが“ターニングポイント”だなんて思っていないよ。毎レース進歩している、その過程でしかない。もちろん、ここから優勝できるようなところまで一気に飛躍できるわけではないけど、今回のポイント獲得はポジティブな未来への“Stepping-stone”(足がかり)と言えるだろうね」

 その思いはホンダのスタッフたちにとっても同じだ。新井は気を引き締め直すように語った。

「ポイントが獲れたことは素直に嬉しいですけど、我々もそこ(入賞圏内)にいようと思って仕事をしているわけではないですから。ようやく中団グループに手が届き始めたというところですけど、そんなところにいたって、もう一度F1をやり始めた意味がないじゃないですか。だから、みんなで力を合わせてもっともっと上を目指さなければと思っています」

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